手術台の種類および医療機器ならではの駆動機能

治療用機器

医療機器の発展に伴い、手術の際に用いられる寝台である手術台にも様々な機能や特徴がもたらされるに至りました。同時に、特定の手術に特化した専用タイプにも様々な種類が見られます。そんな手術台に関して医療機器特有とも言える駆動機能や用途別の種類について見ていきたいと思います。

手術台の概要

手術の際には、患者さんの寝姿勢すなわち体位を、手術しやすい状態で安全かつ安定的に維持することが重要な条件の1つとなります。その条件を満たす上で有効な役割を担う医療機器が手術台です。

手術台は構造的に、患者さんが横たわる臥床台・臥床台を支える支柱・全体の土台となる基台の3部分を基本として構成されています。電動モーターもしくは油圧によって駆動し、臥床台の向き・高さ・傾斜などが調整可能です。それにより患者さんの体位を手術に適した状態に保たせられることになります。

手術台に求められる機能

手術時に患者さんが取る体位は、主に以下のような種類となります。

・仰臥位:仰向けの状態。腹部内臓の手術などで一般的な体位と言えます。
・伏臥位:うつ伏せの状態。脊椎手術にしばしば用いられます。
・側臥位:左右いずれかに横向きとなる寝姿勢を指します。
・座位:上半身の角度を高くした状態の、いわゆる座っている姿勢に相当します。
・切石位:仰向けの体勢で両足を上げ、開脚した状態を固定する姿勢。出産時に用いられます。
・トレンデレンブルグ体位:臥床台を傾斜させ、上半身よりも下半身が高い位置とした寝姿勢。
・逆トレンデレンブルグ体位:臥床台の傾斜により、上半身側を下半身側よりも位置的に高くさせた寝姿勢。

手術台の駆動機能に関しては、これら体位に対応できることが第一に求められています。

手術台の種類

手術を行う身体部位や手術目的、あるいはその他医療的用途により、手術台は様々な種類に分かれています。体系的に分類すれば、万能手術台と専用手術台の2系統に大別できると言えるでしょう。

万能手術台は多くの手術に適用可能であり、汎用性の高いタイプに相当します。基本的な形状は一般的な寝台とさほど変わりません。しかし状況に応じ、上下左右・縦転・横転・傾斜・屈曲・伸展など、様々な形で臥床台の位置調整を取ることが可能です。そういった機構により多様な体位に対応できるため、様々な手術で広範に使用されています。

専用手術台とは、それぞれの医療科目に特化した手術台のことを意味します。特定の手術専門に用いられ、基本的形状も種類によって異なります。例としては、切石位の体位に適した婦人科用手術台、座位に適しヘッドレストと備えた眼科用手術台、脚サポートや牽引器具が付属された整形外科用手術台などが挙げられます。

まとめ

以上のように、手術台について、医療機器としての機能に相当する駆動機能を中心に、要求される機能や種類について確認してまいりました。実施する手術内容を鑑み、より適合性の高い手術台を用いることが、より確実な医療措置を実現する上で重要と言えるでしょう。

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