心電図で調べる! ~異常な呼吸数からわかること~

診断用機器

「呼吸」とは、生命の活動を維持するために酸素を取り入れたあと、二酸化炭素を排出することです。その「呼吸」の数やリズムを確認することによって、患者さんの疾患を推測し迅速な対応に活かすことが可能になります。「呼吸数」を測定する方法は、目視や聴診器、心電図で判断します。今回は、心電図による測定方法について見ていきましょう。

呼吸数を正確に測る理由

私達は、日々いかなる時も「呼吸」をしています。その「呼吸」の仕方によって、様々なサインが隠されていることがあります。そのため、「呼吸の回数・リズムや深さの異常・努力呼吸の有無」などを確認することは重要です。

呼吸数の測定方法

通常は、心身が共に安静な状態の時に測定します。その他に、歩行や入浴等の各種動作を行って、どの様な変化が現れるかを見ることもあります。

心電図検査では、胸部にはった「心電図電極」に高周波電流を流すことによって、電極間の「電気抵抗」の変化を検出して、「呼吸数や呼吸の状態」をみます。

心電図での呼吸数の正常範囲

安静時の平均的な「呼吸数」は健康な成人で毎分12~20回です。では、年齢別での平均呼吸数を下記で見てみましょう。

●新生児:6週間→回数30~60回/分 ●6ヶ月→回数25~40回/分 ●3歳→回数20~30回/分 ●6歳→18~25回/分 ●10歳→17~23回/分 ●成人→12~20回/分 ●65~80歳未満の高齢者→12~28回/分 ●80歳以上→10~30回/分 というデータ結果になります。

異常呼吸とは

通常の呼吸は、「腹式 呼吸」と「胸式 呼吸」を同時におこなう「胸腹式 呼吸」で、上記でも触れたように、正常範囲(安静時・健康な成人)の呼吸回数は毎分 12~20回です。リズムも規則正しく波打ちます。それに対して、毎分12回以下は「徐呼吸」、毎分25回以上は「頻呼吸」といわれます。

〇「徐呼吸」は、ゆっくりした呼吸のことで通常一回の換気量は維持されています。「麻酔時」・「睡眠薬服用時」・「頭蓋内圧亢進」にみられます。

〇「頻呼吸」は、一回の換気量が低下することが多く、低酸素をきたすような呼吸疾患でみられます。心理的な状態の変化においても起こります。

その他の呼吸状態

〇無呼吸
安静呼気位で呼吸が一時的に10秒 以上停止した状態で、「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)でみられます。

〇少呼吸
呼吸の回数や深さ共に減少した状態で、「死亡直前」・「麻痺」でみられます。

〇多呼吸
呼吸の回数や深さ共に増加した状態(赤ちゃんでは、毎分 50~60回以上)で、「過換気症候群」・「肺梗塞」でみられます。

〇過呼吸
呼吸回数に変化はなく、深さが増加した状態です。必要以上の換気活動によって、動脈血中の酸素分圧が上昇し炭酸ガス分圧が低下して、 1回の換気量は増大します。「過換気症候群」・「代謝性アシドーシス」でみられます。

〇チェーンストークス 呼吸
「無呼吸期」を伴う「周期性呼吸」で、数秒から数十秒の無呼吸→浅い呼吸→深く早い呼吸→その後再び浅い呼吸が繰り返されます。最も減弱したときに、しばらく停止しているような周期的な異常呼吸です。「脳疾患」・「中枢神経疾患」・「重症心不全」・「薬物中毒」・「脳血管障害」などでみられます。

〇ビオー 呼吸
浅く早い呼吸と無呼吸が交互に出現し、呼吸数や換気量、無呼吸時間がすべて不規則に混在する「異常呼吸」です。チェーンストークス 呼吸と同じように、「無呼吸」と「頻呼吸」の反復ですが、呼吸リズムの周期性変化がなく不規則で一過性であることが多いです。「頭蓋内圧亢進」でみられます。

まとめ

患者さんの疾患などにより「呼吸数・深さ・リズム」に特徴的な所見がみられることがあります。何が原因となって、呼吸に異常がみられるのかを評価していくことが重要です。

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