咽頭がんの治療で活躍するファイバースコープの凄さ

診断用機器

鼻の奥から食道までの空気や飲食物の通り道の事を咽頭といいます。咽頭ガンは検診にあたって視診(見ること)そして触診(触ること)が重要ですが、見えずらい部分においてファイバースコープが活躍します。今回は咽頭ガンの治療で活躍する「ファイバースコープ」について掘り下げていきます。

咽頭癌とは!?

飲食物や空気の通り道である「咽頭」にできる癌は「咽頭ガン」と呼ばれますが、癌が発生する部位は「上咽頭ガン」「中咽頭ガン」「下咽頭ガン」の3つに分かれ、日本では下咽頭ガンが最も多いです。

全体を咽頭ガンとカテゴリーする事もありますが、それぞれ別の癌になります。そのため、癌の性質や予後も違ってきますし、発生する原因も異なります。国内で年間、咽頭癌と診断される方の数は、下咽頭ガンで約1,900人、中咽頭ガンで約1,800人、上咽頭ガンで約800人です。

男女比で比較すると、いずれの部位も男性の方が発症頻度は高い傾向にあり、好発年齢(疾患にかかりやすい年齢)は50代~60代が多く見られます。

咽頭ガンの検査方法&手術

口蓋扁桃(扁桃腺)や口蓋垂(のどちんこ)を目視で鏡を使用し確認をする事で、自分自身で咽頭ガンのチェックを行う事ができます。ただし、目視できるのは中咽頭の局部のみです。そこで活躍するのがファイバースコープ(内視鏡)になります。

中咽頭ガンは口蓋扁桃、下の奥、口蓋垂にできます。スプレーで麻酔をした直後に鼻から挿入するため違和感も少ないです。理由としては、ファイバースコープが直径3㎜と細いので痛みもほとんど無いからです。

検査方法は、座っている状態で鼻の内部から柔らかい性質のファイバースコープを挿入して検査を行います。喉頭蓋、声帯、下咽頭、中咽頭、上咽頭、披裂部など喉の重要な所について運動障害の有無、左右の対称性、色調、形態、腫瘍を疑う所見がないかを詳しく観察します。ファイバースコープの種類によってはビデオなどで記録することも可能です。

中咽頭ガンは口を開けて見える部分に出来る事が多いので、早期発見がしやすい箇所です。昨今はファイバースコープが進歩し、そのお陰で極早期の癌も見つかるようになりました。
また中咽頭ガンだけではなく、下咽頭ガンも同様に早期で発見できるようになりました。

早期癌には放射線治療が中心ではありますが、昨今では「経口的下咽頭部分切除術」という施術を行う病院が増えています。この手術は、口元から拡大喉頭鏡(喉を広げて見やすくできる器具)を入れ、レーザーやファイバースコープを使用し、癌を剝がしとる施術になります。つまり、食道ガンのファイバースコープ治療を咽頭ガンに応用したものです。

まとめ

近年はファイバースコープの進化により、従来の機器に比べて視野の角度が広くなっており、より広い範囲を観察する事が可能となりました。またカメラの画面解像度も高く、より明瞭な映像を見ながら検査や手術が行えます。加えて撮影した喉奥の、画像の色調を変化させて明るさを変える事もでき、肉眼のみでは見つけにくいような小さな病変も、注力して発見する事が可能になりました。

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