ファイバースコープの原理 ~呼び方の違いも合わせて~

診断用機器

患者の身体を傷付けないで体内の様子を観察したい、遥か昔の時代から医師たちが願っていた事を実現した画期的な機器が「ファイバースコープ」です。今回はこのファイバースコープの原理について解説します。

ファイバースコープとは? ~その開発の歴史~

ファイバースコープとはどの様な機器でしょうか。ここで少し、おさらいしてみましょう。

ファイバースコープとは患者の身体を切開せずに、身体の中の様子を見る事が出来る機器です。その開発の歴史は意外にも古く、1800年代には「咽頭、直腸、胃、尿道」の観察が実際に行われたという記録があります。しかしこれらはいずれも実験的な要素が強く、実用的なファイバースコープの誕生は1950年代になってからになります。

胃カメラの登場

実際に医療の役に立つ実用的な機器が開発されたのは1950年の日本です。先端部に幅僅か6ミリという、超小型のカメラを付けた装置が登場しました。胃カメラの登場です。この当時の胃カメラの仕様は白黒フィルムで、豆ランプを発光させて、先端のカメラで胃の中を撮影するという物でした。

ファイバースコープの原理

患者の身体を傷付けずに、体内の様子を観察することが出来る装置が「内視鏡」です。その中でも、光ファイバーと言う素材を使用して、先端部で捉えた像を接岸部まで届けるファイバースコープは内視鏡の代表格でした。

ファイバースコープのファイバーとは「光ファイバー」の事で、自由に曲げられる性質を持っています。光ファイバーは屈折率の高いガラス繊維を、より屈折率の低いガラスで覆う構造になっています。これにより光のロスを防ぐことが出来、患者の体内で捉えた像を届けることが出来ます。

光ファイバーは4万~15万本ものガラス繊維から成り、1本1本のガラス繊維は芯の部分とその周囲をコーティングする部分の間で光を全反射させる為、先端部で捉えた光の接岸部までの損失率は僅か10%程度に抑えられます。光ファイバーは患者の体内で曲がっても光量の損失量に変わりはありません。

内視鏡とファイバースコープは別の物?

ファイバースコープというのは、厳密には「カメラを用いない内視鏡装置」の事です。ファイバースコープの場合、先端部にはカメラではなくレンズを備えていますが、多くの場合、レンズは広角レンズを採用しています。狭義でのファイバースコープはカメラを用いない装置である為、1度に1人の医師しか患者の体内を観察することが出来ません。

1990年代以降の医療現場ではファイバースコープに換わって、CCDというデジタルカメラを先端部に備えたビデオスコープ(電子スコープとも呼ばれます)が使われるようになりました。これにより、1度の複数の意志が患者の体内を観察できるだけでなく、患者自身に患部の様子を見てもらったり、ビデオに記録したりすることも可能となっています。

ファイバースコープ?胃カメラ?呼び方の違い?

体内の様子を患者の身体を傷付けずに観察できる医療機器が「内視鏡」、その内先端にカメラを備えたものを「胃カメラ」、カメラを備えず広角レンズと接眼レンズを両端に備えたものを「ファイバースコープ」と呼ぶことが出来ます。

しかしながら、一般的に胃カメラと言う呼び方が浸透している為、医療現場で働く医師が患者へ説明をする際にも、これらを総じて胃カメラと呼ぶことは少なく無いようです。

まとめ

ファイバースコープは内視鏡のことを指して使用されることがあります。体内の観察の為に使用されるファイバースコープの原理を、その開発の歴史と共にお伝えしました。

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