認知症治療が可能に?アルツハイマー病治療を目指す超音波機器とは?

治療用機器

「家族がある日突然認知症になってしまったら…」

そのような不安や悩みを抱える方は少なくありませんが、東北大学で開発されているアルツハイマー病の治療を目指す超音波機器に注目が集まっています。

厚生労働省の審議会では、画期的な医療機器候補の審査を優遇する「先駆的医療機器指定制度」の対象品目に指定されることとなり、2025年度承認申請を目指すなど期待が高まるところです。

なお現在は今回開発されている機器と同じ原理により、認知症治療を目的とした治療装置は日本で薬事承認を受けいないため実用化に至っていません。

今後、承認され実用化されるようになれば、認知症やアルツハイマー病で悩む方やその家族の負担が大きく軽減されることとなるでしょう。

そこで、今後は認知症治療が可能になるのか、アルツハイマー病治療を目指す超音波機器とはどのような装置なのか紹介していきます。

超音波がアルツハイマー病の治療を可能とする理由

超音波がアルツハイマー病の治療を可能とする竜として、アルツハイマー病の原因物質である「アミロイドベータ」というたんぱく質が関係します。

開発中の装置は、頭に専用のヘッドセット装置をつけてあおむけになった状態で使用します。

超音波の照射口は、頭蓋骨の厚みが薄いこめかみ部分になるように設計されており、連続ではなく断続的に低出力パルス波超音波を照射していきます。

それにより、脳内で血管拡張作用のある一酸化窒素を合成する酵素を増やし、血流を改善させ原因物質のたんぱく質であるアミロイドベータが蓄積することを抑え、認知機能が低下してしまうことを抑制するという仕組みです。

治験により安全性も確認済

治験により、開発中の装置は安全性も確認済のようです。

治験は早期アルツハイマー病の15人を対象に行われましたが、治療効果は示せなかったものの、人数を増やすことで有効性を強く示唆するといった結果とされています。

今後も治験は進められ、海外での治験も視野に入れつつ2025年度の承認申請を目指しているようです。

超音波の照射条件

開発中の装置を使って認知症を治療するとき、最適とされる照射条件は東北大学大学院医学系研究科が見いだしています。

周波数0.5MHz(メガヘルツ)のパルス波を短時間のみ繰り返し照射するという方法のようですが、その間隔は2.56ms(ミリ秒)で左右からの照射が互い違いになるタイミングで照射することにより、1.28msごとにパルス波が照射されるという形になるようです。

パルス波の出力は0.24W/cm2程度の強さで、健康診断などの検査で使用する超音波と大きく差がないとされています。

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