麻酔器の”蛇管”とは?

治療用機器

蛇管(じゃかん)とは普段の生活の中では聞きなれない言葉ですが、つまりはホースの事です。麻酔器と患者の間をつなぐ部品として、この蛇管が使われています。今回は麻酔器の構造と蛇管の役割について解説します。

麻酔器は必要不可欠な存在

麻酔器とは、外科手術を行う際に患者の神経に薬物を集中させる事で、一定時間、痛みを感じない状態を作る装置です。現代の外科手術において、麻酔を使用しないという事はおおよそ考えられません。

麻酔には全身麻酔と局所麻酔があります。大掛かりな手術などで使用される全身麻酔の役割は下記の様なものがあります。

〇患者の意識をなくさせる。
〇患者に痛みを感じさせない。
〇患者の筋肉を弛緩させる。
〇患者の反射を起こさせない。

一方、患者の意識のあるままで行う、歯科などで使用する麻酔は局所麻酔と呼ばれるものです。

麻酔器が必要になる理由

全身麻酔には、口や鼻から麻酔薬を吸入させる方法と静脈から薬物を注射する方法がありますが、どちらの場合でも全身麻酔を行うと患者の呼吸が弱まる為、必要な酸素を供給・管理する為に必要な装置が麻酔器です。

蛇管の種類

医療用の蛇管と言うと、人工呼吸器を想像する人が多いかもしれません。人工呼吸器用の蛇管は、フィルター・給湿装置・ウォータートラップ・ネブライザー・Y字管などから呼吸回路を構成して使用されます。

麻酔器の構造

麻酔器用呼吸回路は次の様な構造になっています。

麻酔器の蛇管は、マスク用エルボとはYピース(チムニーピース)を介して接続されています。麻酔器から送られる、空気又は酸素を含む医療ガスは、吸気側の蛇管を通り、Yピースを通過して患者の着用するマスクへ送られます。逆に患者が排出する呼気は、Yピースを通して呼気側の蛇管を通って麻酔器へ送られます。

麻酔器用の蛇管は、大人用には90センチ、120センチ、180センチがあり、子ども用は60センチ、90センチ、120センチなどの種類があります。

麻酔器用蛇管の接続手順

1.Yピースの二股に分かれている口に蛇管を接続します。
2.Yピースの逆側にマスク用エルボを接続します。
3.蛇管の麻酔器側のソケットを麻酔器の吸気弁に接続します。
4.蛇管の逆側の口を患者用のマスクに接続します。

蛇管を使用する上での注意点

〇蛇管は一度使用したものを再使用してはいけません。
〇蛇管をその他の部品に接続する際は、アルコール及び界面活性剤などを使用しないで下さい。(樹脂部分がひび割れする原因になります。)
〇損傷・変形しているものは使用しないで下さい。
〇麻酔器へ接続後、使用前にリークがない事を確かめて使用して下さい。

蛇管を保管する上での注意点

〇高温・多湿・直射日光の当たる場所・振動のある場所・凍結する場所を避けて下さい。
〇水濡れ・埃に注意して下さい。
〇有効期限を確認してから使用して下さい。

まとめ

今回は麻酔器の構造と蛇管の役割を中心にお伝えしました。麻酔は外科手術になくてはならないものであり、麻酔器は患者さんの命に係わる装置ですので、保管と使用の際には確実なチェックを要します。

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