脳波計の回路について

生体現象測定記録・監視用機器

医療機器の中でもあまり馴染みのない脳波計。どういった場面で使用するのでしょうか。また、そもそも脳波とは何か。脳波で何が分かるのか。など、説明しつつ、今回はその回路について詳しく書いてみたいと思います。

そもそも脳波・脳波計とは何か?

脳波とは、人や動物の脳内で生じる電気活動を、頭部などに電極をあてて測定したものです。

人や動物の脳内では、情報のやり取りをするのに神経細胞同士が電気信号(活動電位)のやりとりを行います。神経細胞であるニューロンは興奮すると電気信号を発し、それが軸索という神経線維を通り、シナプスというニューロンと他のニューロンの結合部分に達します。その時、電気信号は化学物質(神経伝達物質)に変換されます。

なぜ化学物質に変換されるかというと、シナプスとニューロンの間には隙間があるため、電気信号が通らないからです。

シナプスからの化学物質を受け取った他のニューロンは、細胞内の電位がプラスになり、これをシナプス後電位と言います。ニューロンの神経細胞内がプラスの電位になると、それに伴い細胞外がマイナスの電位を帯びます。すると、細胞体から表面に向かって電流が流れます。

これを検知するのが脳波計なのです。

脳波計で何が分かる?

脳波検査で分かることは、てんかんや意識障害、脳腫瘍、また脳死判定にも使用されるようです。脳出血や脳梗塞などはCT検査で対応できるため脳波検査は行いません。

脳波計の回路

かつてはアナログ方式の脳波計が主流でしたが、現在ではデジタル式脳波計が主流です。
それぞれについてみていきたいと思います。

アナログ式脳波計の回路

①各電極からの信号を電極接続箱でバッファリング(一時的にデータを記憶する)。
②各電極の信号はスイッチで選択され、各チャンネルの差動増幅器に供給される。
③各チャネルの増幅器の増幅回路やフィルタ回路を通りペン出力器に出力され記録を行う。

デジタル式脳波計の回路

①脳波信号を電極接続箱で差動増幅する。
②時系列の数値データにサンプリング、本体PCにデジタル送信する。
③デジタル脳波信号は、モンタージュ処理、フィルタ処理、感度計算される。
④デジタル信号はモニターや印刷などで表示される。
⑤もう一度アナログに変換しペン記録器で記録できる。
⑥デジタルデータはハードディスクや光磁気ディスクに保存できる。

まとめ

ここまで、脳波や脳波計とは何か、脳波計でわかること、そして脳波計の回路について書いてきましたが、脳波計の回路については、かつてのアナログ式と現在のデジタル式の違いも分かったと思います。やはりデジタル式の方が性能もよく、医学の発展に寄与していると思います。これからもますます医学は発展してゆくと言えるでしょう。

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