脳波計の回路上での交流障害について

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
脳波計で脳波を測定するときに「アーチファクト」と呼ばれる目的信号以外のノイズなどが混ざることがあります。この「アーチファクト」の中で最も計測結果に影響があるものが「ハム」と呼ばれる交流障害といえます。

今回脳波計の回路上で起こる交流障害・アーチファクトについて紹介していきたいと思います。

【脳波計を使用する上で起こりうるアーチファクト】

脳波計の測定の際に起こりうるアーチファクトには様々な原因がありますが、以下3つのアーチファクトが起こりうるケースとその対策について紹介していきたいと思います。

・電極の動揺
電極が正しく装着されていなかったり、リード線の重みによって起こるアーチファクトになります。またこの手のアーチファクトの発生パターンで一番多いケースが耳朶(じだ)電極の動揺によるものです。このアーチファクトが発生しないようにするための対策としては以下の3つ挙げられます。

1. 頭髪に分け目を作って電極を再度付け直す
2. 粘着剤(ペースト)を多めに塗布する
3. ペーストを塗布した場合どの部位に塗布したのかを記録紙上に記入する

・電極の分極電圧が起因となるアーチファクト
ペーストと電極間には分極電圧と呼ばれる電位差が多かれ少なかれ発生します。
電位差の変化がみられない場合は問題ないのですが、電極を新しくした場合には基線の動揺としてのアーチファクトが発生することがあります。対策としては、「エイジング」と呼ばれる、新しい電極を食塩水やペーストに1日付けておく対応法があります。そのほかにもAg-AgCl電極を使うことが対策としてあります。

・光刺激が混ざるケース
光電効果によって光刺激が混ざるケースがあります。原因としては光刺激装置の接地不良などによって光の周波数に応じて混入します。

対策としてはアルミホイル・紙などで電極を遮光すること、電極を交換すること、光刺激装置を接地することが挙げられます。

【ハム除去回路】

一般の病室で脳波を測定しようとした場合、周波数によるハムの混入が問題になることが多くなっています。その対策として考えられる方法がハム除去回路です。
ハム除去回路では従来の方法で除去可能な同相的に混入するハム以外の脳波に重畳して混入する「逆相的」なハムの除去も可能となっています。

【終わりに】

いかがでしたか?脳波を正しく測定する際には交流障害、ハムなどの除去を適切に行うことが不可欠になってきます。今回紹介したような対応策を利用して医療の現場などで役立てていただきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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