脳波計の原理

診断用機器

被検者の頭部に多数の電極を貼り付けて行われる脳波検査。そもそも、脳波とはいかなるもので、これを調べるための主要な機器である脳波計とは、いったいどのような原理に基づいて検査を行うものなのでしょうか。基本的な部分を概略的に確認していきたいと思います。

脳波とは

脳は、行動や思考または体内の生命維持活動において、意識的・無意識的に関わらず身体をコントロールしている重要な器官です。このような働きをなす、脳活動の状態を調べる手段の一つとして確立されたのが脳波であると言えるでしょう。

脳活動は、脳を構成している神経細胞(=ニューロン)が相互に脳内化学物質の放出・受け取りを行うことでなされます。これが行動や思考もしくは、体内器官の自律的な働きなどを指令する際に行われる脳内の情報伝達に相当するわけです。

生命の活動には電気的反応が伴いますが、脳の活動においても例外ではありません。ニューロン間で脳内物質の受け渡しが行われるのに連動して電気的変化が生じます。これを電位差として観測し、時間の変化に伴ってどのように推移していくか記録していくと、縦軸を電圧(=電位差)、横軸を時間としたグラフ上に波形として表されます。この波形が脳波というわけです。

脳波検査および脳波計の原理

脳波を検出するためのデータである脳の電位差はどのように観測されるのかを見てまいりましょう。

まず、被検者の頭部を覆うように、貼り付けるあるいはネットを被せるなどして電極を配置します。この電極から得られるデータを脳波計にて電位差として検知することにより、脳のどの部分で電位差が生じているのか、すなわち脳のどの部分のニューロンが働いているのかが把握できます。

脳の各部位の電位差が時間経過につれどのように変化していくのか、その様子が脳波として表され、これを基に脳の状態の判別・診断がなされます。
以上が脳波検査の流れにあたるわけです。

ここで使われる脳波計は、心電図検査で用いられる心電計と同じように生物の身体に生ずる電気的変化の電圧を測定する装置であるため、原理的には電圧計の一種と言って差し支えないでしょう。

脳波検査の意義

脳波検査は医療的にどのような目的で行われるものでしょうか。

物体としての脳の視覚的外観を見る場合にはCTやMRIなどの検査が行われるでしょう。しかし、脳の機能や反応について、すなわちニューロン間における脳内物質の受け渡しについては、視覚的要素だけではなかなか捉えられないものです。

翻ってニューロンの働きを電気的変化から捕捉する脳波検査であれば、脳の機能・反応など見た目ではわからない領域についても観測することが可能となります。そのような意味合いから、脳波検査もまた重要な役割を果たすものと言えるでしょう。

まとめ

以上をまとめると次のとおりです。
・脳の神経細胞(=ニューロン)の働きを示したものが脳波である。
・脳波とは、脳に生ずる電気的反応である電位差について時間経過に伴う変化をグラフ表記化した波形である。
・脳波計は脳に発生する電位差を測定する装置であり、広義において電圧計の一種と見做される。
・脳波検査によって視覚的に捉えにくい脳の機能や反応について調べることが可能となる。

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