脳波計で見る睡眠時の脳波の特徴

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脳の活動によって生じる電気的作用を表す脳波。脳がどのように働いているのか、その時々によって脳波の形も異なります。では、人が寝ている時の脳波にはどのような特徴が現れ、起きている時と何が違うのでしょうか。脳波の種類などと照らし合わせながら見ていきましょう。

脳波とは

まず、脳波とは何なのか、基本的な所から確認していきたいと思います。

脳は無数の神経細胞によって構成され、その働きに伴い微弱な電気反応が発生します。脳各部についてその電気反応を脳波計によって電位差として測定し、時間経過に伴う電位差の変化として描き出される波形が脳波というわけです。このことから脳波は脳の状態を反映しているものと言えるでしょう。

一般的に見られる脳波の種類

波形は山と谷から形成されます。その山と谷の大きさである振幅幅と、一定期間に見られる山と谷の数を示す周波数が、波の特徴を判別する要素となります。それは脳波についても同じであり、振幅幅及び周波数の違いから脳波の種類が分けられることとなります。

脳波は縦方向に電位差、横方向に時間をとる座標上に表されます。そのことに準じて振幅幅と周波数の単位は定められます。振幅幅はそのまま電位差の大きさを示すので単位は『V』(非常に微弱なので『μV(=1/1,000,000V)』)を用います。

周波数は、波形の山一つと谷一つを合わせて一つの波(=周期)とした時、1秒の間に波がいくつ発生したかを示すものです。単位は『Hz』を用います。以上のことを踏まえつつ、以下脳波の種類について見ていきたいと思います。

・α波:目を閉じて安静にしている時などのリラックス状態で見られる脳波です。振幅幅は個人差もありますが一般的には20~50μV、周波数は8~13Hzとなります。

・β波:緊張時で主体となる脳波です。α波より周波数が高く(13Hz以上)、振幅幅が小さい(一般的に10~20μV)という特徴があります。

・Θ波:α波以上に周波数が低い(4~8Hz未満)脳波です。特に疾病が見られない脳で覚醒時に発生することはありません。

・δ波:Θ波より更に周波数が低い(0.5~4Hz未満)脳波です。Θ波と同様、正常な脳において目覚めている時に見られることはありません。

寝ている時の脳波

前項の脳波の分類を踏まえて、睡眠時の脳波について見ていきたいと思います。

目覚めている間の脳波は主にα波とβ波で構成されますが、眠りに落ちる前などのまどろみの状態では、そこにΘ波が加わってきます。更に眠りが進行し浅い睡眠状態となれば、新たにδ波が混入してきたような形態となります。そして睡眠が深まっていくにつれ、δ波の占める割合がどんどん大きくなっていき、やがてδ波が主体の脳波状態に至るわけです。

このように眠りの深さによって脳波が変化していくわけですが、眠りが深くにつれ脳波の周波数が低くなっていく傾向にあると言えるでしょう。

まとめ

これまで見てきた内容について、要点をまとめると下記のとおりとなります。
・脳波とは、脳に生ずる電位差を事件経過に沿って記録した波形である。
・脳波の種類として主に、リラックス状態を示すα波、緊張状態を示すβ波、浅い眠りで見られるΘ波、深い眠りで見られるδ波、が挙げられる。
・睡眠時の脳波は眠りの深さによって変化し、深い眠りになるほど脳波の周波数は低下していく。

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