脊髄疾患のMRI画像の撮影方法について

診断用機器

脊髄疾患には様々な種類のものがありますが、全ての種類において重要となって来るのが病変の位置の特定です。硬膜外なのか硬膜内なのか、また、髄外なのか髄内なのか、その位置の特定に重要な役割を果たすのがMRI装置です。今回はMRI装置を使った、主な画像撮影方法を紹介していきたいと思います。

脊髄疾患とは

まず脊髄とは、背骨の中心を通って脳と体の各部分を連絡する、中枢神経系となります。
脊髄疾患とは、その中枢神経がなんらかの原因により異常をきたす病変のことです。脊髄疾患には様々な種類があり、主なものを次に紹介していきたいと思います。

脊柱変性疾患

脊柱(骨)が変形して起こる変形性脊柱症や椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などがあります。首の痛みや、腰の痛みとなって現れます。

頚椎変性疾患

変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靱帯骨化症の3つが主なものです。症状は痺れなどから、運動麻痺、歩行障害などまであります。

腰部脊柱管狭窄症

加齢による骨や靭帯の変化により、腰椎内で神経が圧迫され、痺れ痛み、脱力、歩行障害などが現れます。

脊髄疾患は、非常に繊細な中枢神経系の疾患であることから、その診断には低侵襲性のMRI検査が非常に有用になります。

MRI装置とは

まずMRI装置とは何か?簡単に説明すると、エックス線を使用して画像を得るCTに対して、MRIは強力な磁場と電波を使って体内の画像を撮影します。
人の体は原子でできておりそれらには原子核があります。それぞれの原子核は磁力を受けると微妙に違う反応を見せます。それを解析し画像化するのがMRIです。人の体のどの部分が磁力に反応するかというと水分です。つまり水を含んだ部分を撮影できるのがMRIです。

その撮影方法にはいくつかの種類があり、それぞれ強調される部分が変わってきます。脊髄疾患に対しても、撮影方法にはいくつかの種類があります。

脊髄疾患のMRI撮影方法の種類

・後縦靭帯骨化症
T2WI、T1WIなどの画像を用いる。ただし、後縦靭帯肥厚症との判別が難しくなるため、CT画像などと組み合わせて、骨化巣の有無を確認する。脊髄圧迫の程度・髄内の信号変
化・関連病変の検索なども行う。

・腰椎椎間板ヘルニア
T2WI、T1WIなどの画像を用いる。T1WIの撮像によりヘルニアと脂肪組織とのコントラストが鮮明になる。

・圧迫骨折
T2WI、T1WIなどの画像を用いる。ただし、急性期なのか、慢性期なのかによって写り方が変わってくる。急性期では出血なども反映し脂肪抑制T2WIで高信号、T1WIで低信号を示す。慢性期では脂肪抑制T2WIで低信号、T1WIでは高信号を示す。

まとめ

脊髄疾患のMRI画像の撮影方法についてと題して、いくつかの撮影方法を紹介してきましたが、その疾患によって複数の画像を組み合わせたり、写すタイミングによって写り方が変わってきたりと、いろいろと難しいところも出てくるようです。しかし、体を傷つけることなく病変の位置を確認したり、程度を詳しく確認できたりと、MRIの有用性は確かなものだと言えるでしょう。

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