ファイバースコープを用いた胃カメラとは

診断用機器

三大疾病の1つである癌。なかでも日本人の死亡原因のトップは胃がんです。胃がんや大腸がんは40~60歳にかけ非常に高い発症率です。40歳過ぎれば医療施設から胃カメラによる検査が勧められます。今回ファイバースコープを使用した胃カメラについて解説します。

ファイバースコープ

この機器は高屈折率の光学ガラス繊維をより低屈折率のガラスで覆い光のロスを防ぎ、太さ5~20マイクロメートルのガラス繊維を、数万本から数十万本と束ねて作った管状の光誘導体のことです。管の一端から入射した光は、そのまま他端に誘導されます。光の量損失は10%程度で管の長さも目的で異なり、管が途中で曲がっても光量の損失度合は変わりません。

特に両端のファイバー束の配列を同じにすると光学像を伝送することが可能で、種々の内視鏡に応用されています。光ファイバーを活用した内視鏡は、初めの頃ファイバーを束にしてレンズを付けたファイバースコープが普及しました。

検査はファイバースコープを通して送られる胃の中の画像を、その場で見ながら検査が行えるようになりました。その後、技術が進化してスコープ先端にCCD(超小型カメラ)を備えた内視鏡が作られます。これは電子内視鏡(ビデオスコープ)と言われるものです。

スコープの原理的なことから、その先端にレンズのあるスコープに変化して内視鏡に活用され、更に超小型カメラが付いたものになったことを述べました。では、内視鏡と胃カメラは同じ機器なのでしょうか。

胃カメラとは違う

内視鏡とは元来、全く別物です。胃カメラは管の先に照明用ランプや小型のカメラが取り付けられています。しかし、即時対応のモニタリングはできず、先端が胃に到達したところで撮影して、検査終了後に現像して診断するものでした。

内視鏡は先述したような、構造の光ファイバーを使用した機器です。現在の内視鏡は、胃の内部を動的かつリアルタイムで観察、記録ができます。前者と後者は狭義的には別物ですが、今でも胃の検査に使用されている内視鏡は、沢山の人に胃カメラと言われています。医療従事者もまた、簡略表現として胃カメラと言葉を使うことがあるので、広義的には同じものともいえます。

最新の内視鏡とは?

最近では、この機器に超音波を備えた超音波内視鏡も使われています。この機器は胃の中の細胞を観察できる機能を持っています。また、内視鏡でありながら、管が無いカプセルタイプのものもあります。カプセルの大きさは微小で、錠剤を飲む感覚で検査を受けられます。

現在の胃カメラ

胃カメラは上部消化管内視鏡とも呼ばれる他、胃ファイバースコープとも言われ細いチューブになっています。このチューブの先端には光の出る窓やレンズ・鉗子などが付いており、曲げ伸ばし可能の光ファイバーの束が組み込まれています。

このチューブを口もしくは鼻の穴から挿入して、食道・胃・十二指腸を内部から肉眼で見るようにモニターに映し出し、観察や撮影をして病変の有無また状態を確認します。チューブを入れる前に、鼻の中やのどなどに局所麻酔をして苦しさを軽減して検査します。

この胃カメラにより、胃内の炎症や潰瘍、癌などの腫瘍の診断ができます。小さな病変を見つけられる特徴を持っています。また胃内のポリープを切除後病理検査に出して、悪性か良性かが分かるようになりました。

まとめ

胃カメラにファイバースコープを使用することで飛躍的に胃の中の状態が分かるようになり、より適切な医療処置を施せるように進歩しました。医療機器は日々進歩を遂げています。

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