血圧計と圧力の関係とは?

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
病院に行くとたびたび血圧測定をします。中には、自宅で測定するため血圧計がある方もいるかもしれませんね。
血圧計と圧力、というとどちらも「圧」という字が使われることから関係があることは想像できますが、それは具体的にどのようなものなのでしょうか。今回はそのことについて説明したいと思います。

【血圧計ができるまで】

血圧とは心臓からポンプのように流れ出した血液が血管の中を流れるときに、その血液が血管の壁にかける圧力のことをいいます。
人々は昔から心臓のしくみや病気を解明するために、血圧を測ろうと様々な試みを行ってきました。

17世紀、心臓から出た血液は動脈をめぐり、戻るときは静脈を通って心臓へ戻るという「血液循環説」が発表されました。
18世紀、イギリスの医師スティーブン・ヘールズは馬の動脈に刺した管の中の血液が上昇する高さから血圧を計測しました。
19世紀、フランスのジャン・ポアズイユは水銀の柱を作り、水銀にかけられた血液の圧力の上下を見て人の血圧を測定しました。

【現代の血圧計(血圧測定)の確立】

19世紀末、イタリアのリバロッチは人の上腕に巻くカフ、加圧するためのゴム球、水銀圧力計、それらをつなぐゴム管でほぼ現代に使われている血圧計の原型を開発しました。

そして20世紀初頭のロシアの医師コロトコフが、コロトコフ音と呼ばれるものを聴診器で聞くことによって血圧を測る血圧測定理論を示したといわれています。
上腕をカフで圧迫し一回動脈を閉塞させてから、徐々にカフの圧力を下げていきます。
そのとき流れはじめた血液の音を聴診器で聞きます。これをコロトコフ音といい、これが測定に必要な血管音になります。
カフの圧力をそれからさらに下げていくと音が聞こえなくなり、これを「最低血圧」、コロトコフ音が聞こえだしたときにかかっていたカフの圧力を「最高血圧」とすることで現在の測定法「コロトコフ法」を確立しました。

現代の血圧測定は「コロトコフ法」のほかにさらに1980年代「オシロメトリック法」が開発されました。
血管をカフで圧迫し、圧力を下げていくときに血液の音を聞くコロトコフ法とは違い、血管の壁に発生する振動から血圧を測定する方法です。コロトコフ法より誤差が少ないこの方法は現在の電子血圧計のしくみに多く使われています。

【まとめ】

血圧測定で高血圧などの病気がわかるだけではなく、高血圧の人がなりやすい心臓病、脳卒中を未然に防ぐなどの効果があります。
圧力を利用して血圧を測定するという理論はあったものの、それから血圧測定、現在に至る血圧計を確立するまでには数百年にわたる人々の努力がありました。
最近ではポータブルの血圧計も存在します。健康なうちから血圧測定をして毎日の健康管理を行いましょう。

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