CT装置とMRI装置の特徴や使い分けとは

診断用機器

【はじめに】
人間ドックなどで再検査を勧められた時、医師から「大きな病院でCTを撮ってください」、「MRI検査を受けてきてください」などと言われることがあります。
この二つの検査機器は、体内の様子を詳細に映し出すことができるという共通点がありますが、それぞれどのような使い分けがされるのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
医師、看護師、検査技師などの医療関係者なら知っていて当たり前のことでも、患者にとってはよく分からなくて不安を感じてしまうこともあります。
今回は、CTとMRIの違いについて、やさしい言葉でまとめます。

【CT装置とMRI装置の特徴や使い分けとは】

1.CT装置について
CT装置は、X線により体の断面を撮影する仕組みになっています。
そのままの状態で撮影することもありますが、体内の様子をより鮮明に写す目的で造影剤を用いることもあります。
CT装置が使用される検査としては、打撲、転落、交通事故などによる外傷や、くも膜下出血、脳内出血、大きな病変などが挙げられます。

胸部や腹部などの、骨で覆われていない部分は超音波検査で中の様子がある程度分かりますが、脳は頭蓋骨で覆われているため超音波では見ることができません。
以前は脳の検査はレントゲンで影を映して見ていましたが、CTで断面図が見られるようになったことでより詳細な検査が可能となりました。
CTで撮影した写真は、レントゲン同様、骨は白く、空気は黒く映ります。
10~15分と比較的短時間で撮影できるので、小児の患者を検査する時も使用しやすいという利点があります。

しかし、微量ながら放射線被爆がある、脳幹などの撮影や初期の脳梗塞、脳腫瘍の撮影の精度は落ちるといった弱点もあります。
近年は開発技術の向上により、小さな脳腫瘍なども鮮明に撮影できるようになってきたので、弱点は少しずつ改善されつつあるといえるかもしれません。

2.MRI装置について
MRI装置は、磁気の共鳴により体内を撮影する医療機器で、そのままの状態で撮影することもあれば造影剤を使用して撮影することもあります。
脳、肺、腹部、骨、婦人科系の臓器など、いろいろな部位の検査に用いられます。また、脳の検査では小さな腫瘍や初期の脳梗塞なども発見できるため、脳ドックでも活躍しています。
MRI装置では撮影範囲を任意で指定できるため、検査する部位により設定や撮影方法が違ってきます。
被爆もなくCTより精密な検査ができますが、検査を受ける患者は約30分間、狭い空間で工事現場のような騒音に耐えなければならないという弱点があります。
また、検査機器の中でも高額な部類なので、大きな病院でないと導入が困難という現状があります。

【最後に】

今回は、CT装置とMRI装置の特徴と使い分けについてまとめました。
CTはX線で体内を撮影する機器で、MRIは磁気共鳴で体内を撮影する機器です。また、外傷の検査や、大きな脳の病変を確認する時や短時間で検査を終わらせたい時にはCT、体内や脳内をより詳しく見て早期の病変を確認する時にはMRIが向いているとされています。
患者から検査方法について質問を受けた時などに、この記事の説明も参考にしていただけると幸いです。

ピックアップ記事

関連記事一覧