ファイバースコープとボアスコープの違いとは?

診断用機器

【はじめに】
病気などの検査で体内を見るのに内視鏡を使います。内視鏡は鼻や口から入れるなどのほか、手術時に体に小さい穴を開けてそこから内視鏡を入れて観察や手術を行うことがあります。
今回はその内視鏡の種類であるファイバースコープとボアスコープについて説明したいと思います。

【大きな違い】

一番大きな違いは、ファイバースコープは軟性の管であるのに対し、ボアスコープは「硬性鏡」と訳されることもあるほど管が硬性であることです(それに対しファイバースコープは「軟性鏡」と呼ばれることもあります)。
ファイバースコープは軟性の管で鼻などから入れてから胃を観察するなど、比較的長い時間であっても体内の形に合わせることができます。
一方、ボアスコープは比較的短い距離で対象物を観察します。

【ファイバースコープとボアスコープ】

・ファイバースコープ
5~10マイクロメートルほどの細いガラスまたはプラスチックの線を数万本束ねてチューブ状(管)にしています。
管の前後にレンズや観察鏡がついていて体内を観察します。
また、カメラや特殊な手術器具がついていることもあり、観察以外に手術を行うこともあります。

・ボアスコープ
管が金属でできており、ファイバースコープのように途中で曲げて使用することはできません。
腹部の臓器や骨盤部の臓器の診断に使用されたり、腹腔鏡手術にファイバースコープと共に使用されたりします。
例えばカールストルツ社のボアスコープのカメラは近赤外線システムにより手術中も組織表面下の見えない部分を見ることができます。それによって胆道、リンパ系、血管などを解剖学的構造の映像としてモニターで見ることができます。

【技術の進歩により手術技術が高度化】

今まで金属のメスである程度体を大きく切り開かないと外科手術はできませんでした。
しかしファイバースコープやボアスコープにより、手術のために患者さんの体を切開する面積は極めて小さくなりました。小さい穴数か所から体内を観察したり手術行為が行えるようになり、患者さんの負担も軽くなっています。また手術後の傷の治りも早くなることによって、入院期間の短縮にもつながりました。このような内視鏡器具を体の中に入れて行う手術技法を「腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)」といいます。

【まとめ】

ファイバースコープとボアスコープは医療以外に、産業界で素材や製品の内部をチェックするためにも多く使われています。ボアスコープは全て硬性であるため人の体には短い管しか使えませんが、産業用には1mを超える長いものも存在します。
ファイバースコープとボアスコープは人の健康にも豊かな暮らしのためにもなくてはならない機器なのです。

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