24時間血圧計について~静音・軽量・自動制御~

治療用機器

はじめに

血圧を測定する機会といえば、病院に行ったときや検診を受けるときというのが一般的ですよね。
あるいはスーパー銭湯やスポーツジムに備え付けられている血圧計をよく利用しているという方もいるかもしれません。
また、高血圧などの症状をお持ちの方であれば、家庭用の血圧計を購入して、毎日決まった時間に測定しているというケースもあるでしょう。
しかし、医療用として使われている血圧計の中には上記のような任意の時間あるいは決まった時間だけに測定するというのではなく、24時間にわたって血圧を測定するタイプもあります。
今回は、この24時間血圧計について見ていくことにしましょう。

24時間血圧計の必要性

そもそも、なぜ24時間血圧計が必要になるのでしょうか?
一般的にもよく知られていることですが、血圧の値は一日を通じて同じではなく、活動状態や環境あるいは精神状態や肉体的な状態などによって一日の間でもさまざまに変化しています。
これは血圧の「日内変動」と呼ばれる現象ですが、最近の研究で脳や心臓などで起こる血管系の病気は、この日内変動のパターンと深い関係にあることがわかってきているのです。

特に、起床前後に起こる血圧の一時的な急上昇(モーニングサージ)が見られる場合には、脳梗塞や脳出血といった脳の血管に関連する病気の発症率が高くなることが報告されています。
また、一日を通じた血圧の変動の幅が通常よりも大きい場合には、心臓の血管に関連した病気を発症するリスクが大きいことなどもわかってきています。

しかし、このような血圧の変動の状態は、医療機関を受診したときの測定や、家庭における朝晩の測定では、なかなか正確にとらえることができません。
そこで24時間血圧計を用いた測定が必要になってくるわけです。
ちなみに、このような24時間血圧計を用いる測定方法は「24時間自由行動下血圧測定」(ABPM:Ambulatory Blood Pressure Monitoring)と呼ばれています。

24時間血圧計の特徴

24時間血圧計は、睡眠も含めた日常生活状態における血圧の変化を測定するものですから、ふだんの生活にできるだけ支障を与えないような特徴を備えています。
まず、睡眠を妨げないようにするため静音設計になっています。
それに加え、携帯しやすく、活動状態に与える影響もできるだけ少なくするため、一般的な血圧計と比べて軽量化もされています。
また、血圧の測定はもちろん自動で行われるようになっており、日中は約30分間隔で、夜間は約1時間間隔で測定とICメモリへの記録がされるようになっています。

最後に

今回紹介した24時間血圧計を使った血圧測定(ABPM)は、高血圧やそれに関連した病気の診断、治療に重要な役割を果たすようになってきています。さらに日本高血圧学会が承認するガイドラインに従って測定が行われる場合には、診療報酬点数の算定対象となることが定められています。

ピックアップ記事

関連記事一覧