麻酔器モニターの重要性

治療用機器

医療の現場で麻酔器を使用する際は、必ずモニターを使用します。当たり前の様に使用されている麻酔器のモニターですが、なぜ必要なのでしょうか?今回の記事では、その理由を詳しく解説していきたいと思います。

麻酔器モニターが登場する以前

手術の為に使用する麻酔の歴史は非常に古くからありますが、麻酔器のモニターが普及する以前の医療の世界では、患者の状態を正確に判断する事には困難が付きまといました。中世以前の世界では、生きている患者を死亡していると誤認して、埋葬してしまう例もあったそうです。

麻酔器モニターの種類1. 呼吸モニター

呼吸モニターは、気道内圧・一回換気量・呼吸回数・従量式陽圧換気・従圧式陽圧換気などを測定、表示する装置です。気道閉塞の可能性や、麻酔回路の閉塞又はリークの可能性に気づく事が出来ます。

麻酔器モニターの種類2. パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)

パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)は、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定、表示する装置です。(同時に脈拍も測定します。)

手術室内に設置する据え置き型のほかに、病院外で使える携帯型も存在しています。通常(指先が冷たい場合を除き)患者の指先に取り付けて使用します。パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)を使用すれば、動脈血酸素飽和度を知る為に患者から採血する必要がなく、患者の負担を軽減できる事から、1970年代に登場してすぐに、広く普及しました。

麻酔器モニターの種類3. 循環モニター

循環モニターには心電図・血圧計・心拍出量測定・経食道心エコーなどがあります。それぞれの役割は以下の様になります。

〇心電図では、不整脈や虚血性変化を知る事が出来ます。

〇血圧計では、患者の循環動態を知る事が出来ます。
非観血的動脈圧測定と患者の動脈にカテーテルを挿入する観血的動脈圧測定があります。

〇心拍出量測定で、最も一般的な肺動脈カテーテルを用いる測定では、肺動脈圧・肺動脈楔入圧・中心静脈圧・心拍出量・混合静脈血酸素飽和度・血液温を知る事が出来ます。

〇経食道心エコーでは、弁の動きと形態・弁の狭窄・逆流の有無・左室の大きさ・動き・循環血液量の推定・虚血による収縮力低下の有無・大動脈の状態・解離の有無・人工心肺使用時の脱血間の位置・IABP先端の位置・心嚢液肺動脈圧を知る事が出来ます。

麻酔器モニターの種類4. 代謝モニター

代謝モニターには以下の様な役割があります。

尿量、尿の性状を測定する事により、循環血液量の量を推測する事が出来、輸液過多の可能性や、循環血液量不足、出血、輸液不足、血管透過性亢進の可能性に気づく事が出来ます。

体温の測定をする部位は直腸温・膀胱温・鼓膜温・血液温・皮膚温などです。

麻酔器モニターの種類5. 脳内酸素飽和度モニター

脳内の酸素飽和度を測定する機器が脳内酸素飽和度モニターです。血圧をコントロールしたりする際に役立ちます。

麻酔器モニターの種類6. BIS Bispectral Index

BISは、脳波を測定する事で、麻酔の効き目を知る事が出来る機器です。予期せぬ覚醒や、不必要に不快催眠を防ぐのに役立ちます。血糖値の測定では、血糖値異常を知る事が出来ます。

まとめ

今回の記事では、麻酔器を使用する様々なモニター機器について解説しました。どれも重要な役割を担っている機器ですので、この記事がこれらの機器について知る手助けになれば幸いです。

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