脳波計を含む医療機器に対する「消毒」や「洗浄」の方法と注意事項

治療用機器

脳波計は脳の動きを調べる為の医療機器です。脳の働きは感情によって左右されたり、体の影響からも刺激を受けたりしています。脳波計は精密な医療機器なので、消毒に対しても注意をしながら行う必要があります。

脳波計の概要

脳内の中には神経細胞の数がおよそ140億個もあり、神経同士の細胞間による情報交換が素早く行われています。考えたり、話したり、動いたりする様、脳によって命令信号が送られているのです。脳波計はそれらの状態を複数の電極から電位差を捉える事で、脳の波形としてモニターに変換して波形を表示させる事で状態を読み取るのです。

脳波計を含む医療機器の消毒

医療機器においては、それぞれの分類に分けて洗浄と消毒・滅菌を行っています。その対象の分類ごとによって処理方法を変えているのです。

【1.クリティカルの分類】
〇無類の組織や血管系に挿入する場合に分けており、対象は手術用機器やインプラント器材が該当します。
〇処理方法は滅菌を行います。

【2.セミクリティカルの分類】
〇粘膜の場合や創のある皮膚との接触がある場合の対象として、内視鏡ファイバーや麻酔器材、ネブライザー物品などが該当します。
〇処理方法は高水準消毒を行います。

3.ノンクリティカルの分類
〇医療機器表面の場合で、モニター・ポンプ類の場合は清拭清掃を行います。
〇傷のない正常な皮膚に接触した場合の血圧計のカフや聴診器、便器や尿器などは、低水準消毒やアルコール清拭を行います。
〇ほとんど手が触れない床の場合は、定期清掃や汚染清掃と退院時清掃を行います。
〇壁やカーテンなどの場合は、汚染時清掃や洗浄を行います。
〇頻繁に手が触れる場所のドアノブやベッド、柵やオーバーテーブルなどは、1日1回以上を目安に定期清掃または定期消毒を必要とします。

消毒のレベル

必要となるレベルに合わせた消毒剤についてみていきましょう。

【1.高水準消毒剤】
〇多数の細菌芽胞を除く、すべての微生物を殺滅する場合や真菌および芽胞などあらゆる微生物を殺滅する事ができます。
〇グルタールアルデヒド(2%以上) やオルトフタルアルデヒド(0.55%以上) で消毒します。

【2.中水準消毒剤】
〇結核菌や栄養型細菌などの、ほとんどのウイルスやほとんどの真菌を不活化する事ができます。
〇次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノールやポビドンヨードが使用されます。

【3.低水準消毒剤】
〇ほとんどの細菌や数種のウイルス、および数種の真菌を死滅させる事ができます。ただし、結核菌や細菌芽胞など抵抗性のある微生物の殺滅はできません。
〇第4級アンモニウムの使用、グルコン酸クロルヘキシジンや両性界面活性剤で消毒します。

脳波計の消毒方法

医療用の機器は精密な機械ですので、消毒の方法によっては機械の内部に浸透して変形や不具合の可能性があり、故障が起きる原因となるので注意すべきです。

【洗浄や消毒方法】
次亜塩素酸塩やアンモニア系、フェノール系やアセトン系の消毒剤の使用はできません。

〇使用可能な消毒薬は、エタノールやイソプロピルアルコールと塩素系化合物の使用を行います。
〇洗浄と消毒の詳しい実施方法は、各部分の医療機器のガイドを参考にしましょう。
〇消毒後は自然乾燥や乾いたガーゼなどで綺麗にふき取り、目視によっても状態を確認しましょう。

まとめ

脳波計の部品ごとに消毒の違いがある場合もあるので、脳波計を提供する機器メーカーの説明を詳細に聴いて、清掃や洗浄消毒における医療機器ごとにマニュアルを用意する必要があります。専門の業者に委託しない場合には、脳波計の管理などは、担当者を決めるなどして安全な管理で使用できるようにしましょう。

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