レントゲンなどの診断装置で使われるX線とは?

生体現象測定記録・監視用機器

はじめに

レントゲンやCTといった診断装置でおなじみのX線。
具体的にはどのようなものか、ご存じでしょうか?
X線と聞くと「放射線」という言葉を思い出される方も多いと思います。
しかし、X線は放射線の一種ではありますが、X線イコール放射線ではありません。
今回は、レントゲンなどの診断装置で使われるX線について見ていくことにしましょう。

X線とは?

まずは「放射線とはどのようなものなのか?」から見ていくことにしましょう。

#放射線とは

放射線は、高い運動エネルギーを持ちながら空間を高速で飛び回る粒子と、波長が短く高エネルギーを持つ光(電磁波)の2つに大きく分けることができます。
このうち粒子には、アルファ線やベータ線、がん治療で用いられる重粒子線などがあります。また、後者の光(電磁波)にはガンマ線などが含まれます。
今回のテーマになっているX線は、後者の光(電磁波)の部類に含まれます。
ただし、光といってもX線やガンマ線の波長は、人間が見ることのできる範囲に含まれる波長よりも短いため、目で見ることはできません。

ちなみに、X線画像は、レントゲン写真と呼ばれることも多いのですが、これはX線を発見したのがドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンであり、その名前にちなんでそう呼ばれているというわけです。
発見当初、その光の正体が何であるかわからなかったため、レントゲンは数学で未知数の意味を持つ「X」を名前に付けました。
そのため、X線という名称で呼ばれるようになっているのです。
なおレントゲンはX線を発見した功績により、1901年に第一回目のノーベル物理学賞を受賞しています。

#制動放射X線

放射線に含まれるX線は、さらに制動放射X線と特性X線に分けることができます。
このうち、レントゲン撮影などの診断装置に使われているのは制動放射X線です。
制動放射X線が発生する仕組みは以下の通りです。

物質を構成する電子の周辺には、雲のように光が取り巻いていると考えられています。
そして、高速で移動している電子が、物質の原子核の引力に引っぱられ急に角度が変わると、その取り巻いている光がちぎれて飛び出すことになります。この飛び出す光がX線です。
また角度が変わるときに制動(ブレーキ)がかかることから、「制動」放射X線と呼ばれます。

X線画像の仕組み

最後に、X線で体内の画像を得るための仕組みも見ておきましょう。
まず、あらゆる物質は原子からできています。
その原子と原子の間にはごくわずかな隙間があります。
波長の短いX線は、その隙間を通り抜けるため、物質を透過することができるのです。
ただし、透過の程度は物質によって差があり、一般的には密度の高い物質ほど、また原子番号の大きい物質ほど透過しにくくなります。
そして、人体を構成する骨や筋肉、臓器なども部位によって密度や平均の原子番号が異なりますので、透過するX線の量も部位によって異なってくることになります。
このため、X線に反応するフィルムに、人体を透過した後のX線をあてれば、体内の様子を画像として得ることができるようになるのです。

ピックアップ記事

関連記事一覧