ファイバースコープ 手術の方法と種類

治療用機器

現在では様々な医療現場において、ファイバースコープを用いた手術が行われています。それらは、どのような種類がありどのような方法で行われているのでしょうか。また、手術で使用するメリットとは何でしょうか。それらについて見ていきたいと思います。

ファイバースコープ手術とは

ファイバースコープはざっくりと言うと、光ファイバーによって光(映像)を送りモニターに映しだす装置です。これを用いた手術では、リアルタイムで手術箇所の確認をしつつ組織の採取・止血や粘膜などを水で洗うことなど、様々な処置が可能となります。

ファイバースコープ手術は、腹腔鏡手術を例に挙げると腹部に0.5~1.5㎝の穴を数か所開け、そこからスコープと手術器具を入れる方法で行われます。その際にスコープによって腹部内を確認しながら手術を進め組織を採取したり、縫い合わせたりと様々な措置が可能となり、基本的には開腹手術となんら変わりありません。

内視鏡手術の種類

ファイバースコープ手術は内視鏡手術の1種に位置付けられ、内視鏡手術は大きく次の2タイプに分けられます。体の中に挿入する際に曲がらない「硬性内視鏡」を用いる手術と、曲がるタイプの「軟性内視鏡」を用いた手術です。

「硬性内視鏡」は先端からレンズなどを繋ぎ、体の外の接眼部で見ることとなります。

「軟性内視鏡」には主に次の2種類があります。
1つは、先端のレンズで捉えた画像がグラスファイバーを伝達し接眼部まで導くことで確認する「ファイバースコープ」。前項のファイバースコープ手術はこれを用いた方法となります。もう1つは先端のCCDを用いて、電気的にモニターに画像を写し出す「電子内視鏡」です。

硬性内視鏡が使用される器官

主に使用される診療科は、消化器科・泌尿器科・産婦人科・耳鼻科・眼科などになります。代表的なものとしては、お腹に小さな穴を開けて手術を行う「腹腔鏡」があり、手術器具を挿入したり水で流したりする機能があります。

また、産婦人科では子宮筋腫の摘出、泌尿器科においては経尿道的前立腺摘出・腎臓摘出などに用いられています。眼科や耳鼻咽喉科などでは細い型が使用されており、鼻腔・声帯・鼓膜などの観察を行います。眼科では緑内障や硝子体手術などで用いられ、硝子体混濁の除去・レーザー光凝固・虹彩裏面の観察などが行われています。

軟性内視鏡が使用される器官

〇循環器・気管支・小児・脳神経
循環器・気管支などの狭い部位には、その大きさに応じて挿入部の細いファイバースコープを使用します。先端を曲げられ、処置用の器具を装着することも可能となっています。小児用の検査や、脳および他器官の血管内の観察、肺癌の診断などにも使用されています。

〇消化管
この器官の場合には、2つのタイプがあり「上部消化管用」と「下部消化管用」に分けられます。「上部消化管用」は十二指腸・胃・食道などに使用され、「下部消化管用」は大腸や結腸などに使用されます。先端にはレンズの洗浄・送気などをするノズルがついています。

また、ポリープ切除や細胞の採取・吸引などができる器具を装着するチャンネルがあり、手元のノブによって操作します。

内視鏡手術のメリット

ファイバースコープを使用する種類も含め、内視鏡手術全般には、キズを小さく抑えて回復を早められるというメリットがあります。それにより早期退院・早期社会復帰が可能となります。さらに、痛みや出血の量が少なく癌の治療においては開腹手術と変わらないほど根治性があると言われています。

まとめ

ファイバースコープ等内視鏡を用いる手術は、一般の手術に比べ難易度が高くなります。施術部位によって最適なタイプをきちんと理解しチョイスすることが大変重要と言えるでしょう。

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