全身麻酔器の再呼吸についての注意

治療用機器

手術には、麻酔が欠かせません。麻酔には部分麻酔と全身麻酔がありますが、今回は全身麻酔を中心に見て行きたいと思います。全身麻酔は口と鼻を覆うマスクをして行います。手術中も呼吸は止まりませんが、息を吐く場合、二酸化炭素が出ます。全身麻酔器において、マスク内で自身の吐いた息を吸う再呼吸について注意すべき点を中心に解説をします。

麻酔器の仕組み

麻酔には、静脈に注射して行う静脈麻酔法と、口と鼻から麻酔器を吸入する吸入麻酔法とがあります。全身麻酔器の仕組みは、ガス供給部と呼吸回路に別れています。

ガス供給部は、麻酔薬を気化させそれに酸素や笑気(亜酸化窒素)を混合させ、麻酔用のガスを生成し、呼吸器回路でそのガスを患者に供給して、患者が吐いた息を再び循環させ呼吸を管理します。

呼吸のメカニズム

麻酔器を使用する前に、呼吸そのもののメカニズムについて理解しておく必要があります。呼吸とは人体が必要とする酸素を取ると同時に、体内に生じた二酸化炭素(CO2)を体の外へ出すという2つのことを同時に行う動きだと言えます。

取り込まれた酸素は、肺胞から血液(Hbと結合)へ流入して全身を巡ります。二酸化炭素は血液から肺胞へ放出され、吐く息として体外へ排出されます。これら2つの動きは二酸化炭素が肺胞に移動する方が20倍ほど速いという事実を合わせて、この2つの動きを最適化する方法は全く異なります。

前述したように、この機器は患者が吐いたガスを再び循環させて使用します。患者自身が吐いた息を再び吸うことを再呼吸と言います。ですから、換気に注意しながら低酸素症や高二酸化炭素症に陥らないよう機器の管理が必要です。

再呼吸について注意

再び呼吸するときに、回路内の二酸化炭素の蓄積を防ぐためCO2を吸収するソーダライムを詰めたカニスターが不可欠になります。また、再呼吸には注意が必要です。呼気の最中で吸気が始まれば患者はCO2を多量に含有した呼気を吸引することになるからです。これでは効率よく酸素を取り込むことが出来ません。

成人のケースでこの再呼吸が問題となるのは、重症の肺気腫患者のような”重度閉塞の障害”を抱えているケースが多いです。また施術中の高二酸化炭素血症などは多くのケースで、低分時肺胞に起因するが、CO2の血中への吸収が理由であることが多いのです。

これらの問題に対しては種々の原因に対処することや分時肺胞換気量を増加して対処します。

非再呼吸式

麻酔における人工呼吸器には、呼気に含まれる麻酔ガスも循環・再呼吸させて麻酔ガス消費を節約できるようにして再循環させるものと、呼気を排泄する構造を持っている非再生呼吸式のものとがあります。

まとめ

手術時に使用する全身麻酔器の再呼吸についてご紹介しました。再呼吸は、呼吸回路部分が担う事柄だとも言えますが、対応して種々の方式があります。安全にこの機器が運用されるよう医師や医療関係者はより一層麻酔器に対する理解を深める事が求められます。

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