血中濃度の正常値とは?測定することが重要な理由を解説

生体現象測定記録・監視用機器

同じ薬を同分量飲んだとしても、人によって薬の効き方には差が見られます。

そのため、医療現場では血液中の薬物濃度を測定し、薬が有効な働きをしているか判断していますが、それによって適した投与量や方法を設計するのが「TDM」という手法です。

薬の効果が適切に発揮するためにも、薬物の血中濃度が適正な範囲でおさまっていることが必要となります。

血中薬物濃度の測定が普及しなかった理由

患者の血中薬物濃度の測定によって、それぞれに合った薬の量を調整する方法については、1970年代からありました。

ただ、測定する前に煩雑な処理が必要であり、測定機器もコストが高めであるため、実際には医療現場で普及しにくい状況といえます。

ただし現在は、少量の血液で簡単に測定できるシステムなども研究・開発されているため、医療機器もだんだんと小型化するなど進歩しているといえるでしょう。

血中濃度とは

「血中濃度」とは、血液内の薬の濃さです。

経口投与された薬の場合、胃や腸で血液内に吸収されて全身に運ばれます。

処方箋通りの服薬でも、吸収の程度や体重の増減、肝臓や腎臓の働きによって血中濃度は変動することになります。

血中濃度の正常値と最高値

たとえば酸素濃度の場合、血中濃度の値は「%」であらわすことになりますが、正常値で99~96%です。

疾患があるときや体調不良のときには数値が低くなることもあり、入院患者の体調管理や手術中の容体変化の監視目的としても使われるなど、体調の評価では重要な数値といえます。

最高血中濃度は、薬物投与後、2回目に投与する前に血中の薬物到達の最大濃度を示します。

これは薬物動態学においての標準的な測定値です。

血中濃度の測定が大切な理由

たとえば高齢者の場合、肝血流量は一般成人よりも40%ほど低下しています。

さらに薬物を分解する酵素の働きも悪くなっていることが多いため、薬の作用が強くあらわれやすいことから、副作用のリスクも高まります。

また、アルコール類も肝臓で代謝されることになりますが、薬物治療中のアルコール摂取は肝臓へ大きな負担をかけてしまいます。

このようなことから、血中濃度を測定することは大切なことといえるでしょう。

また、黄疸原因の物質は肝臓で代謝されるビリルビンですが、これが血液中に増えることにより起きます。

肝炎・肝硬変などの肝機能低下や溶血性貧血、胆石症、胆道系腫瘍などで黄疸が見られるため、早期発見においても重要です。

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