吸収性縫合糸とは?吸収性と非吸収性の違いや種類・選び方を解説

吸収性縫合糸とは、一定期間経つと体内で吸収されることにより、消えてなくなる縫合糸です。
加水分解で吸収されるため抜糸する必要のない縫合糸であり、吸収までの時間は使われている素材で異なります。
そこで、吸収性縫合糸について、吸収性と非吸収性の違いや種類、選び方を解説します。
縫合糸の種類
手術で使用する縫合糸には種類がありますが、医療用縫合糸は体内で吸収される性質と、吸収されない性質に分かれます。
吸収される性質の糸なら、抜糸が不要です。
しかし、強度を失うと困る場合もあるため、吸収されない性質の糸が適しているケースもあり、すべてにおいて抜糸不要でよいわけではありません。
吸収される性質の吸収性縫合糸と、吸収されない非吸収性縫合糸は、特徴や用途がそれぞれ以下のとおり異なります。
・吸収性縫合糸…一定期間は創部を固定する強度があり、時間経過で加水分解などにより吸収される糸。糸の種類で抗張強度維持期間と吸収期間が異なる。
・非吸収性縫合糸…生体内で分解・吸収されず残留する糸であり、長期間をかけて劣化するタイプのものも含む。長期間に渡り保持する必要がある組織で使うことが多い。
縫合糸のサイズの種類
縫合糸は、太さでも種類が分かれます。
アメリカの米国薬局方(U.S.P)による分類は、最も太いタイプを10号とし、号数が小さくなるほど細くなります。
なお、1号より細い場合は、1-0、2-0などの順番に細くなり、もっとも細い12-0は直径0.001mm~0.009mmまでと規定されています。
12-0は、肉眼でギリギリ見えるほどの細さです。
縫合糸の素材
一般的な手術針はステンレス製であり、いろいろな素材の縫合糸が使用されます。
吸収性縫合糸は、素材の種類や太さなどで、吸収までにかかる期間が60日から200日以上など、差が生じます。
主に合成素材が多く、吸収性と非吸収性で使用される素材の違いは以下のとおりです。
・吸収性素材…ポリグリコール酸・ポリジオキサノン (PDO・PDS)・ポリグラクチン910
・非吸収性素材…ポリプロピレン製・ポリアミド・ポリエステル・絹
縫合糸の選び方
縫合糸を選ぶときは、以下の4つの機械的特性を考慮しましょう。
・強度…縫合糸の引張強度であり、太さと素材で糸の強度は決まることを踏まえた選択が必要
・滑りやすさ…損傷を抑えつつ組織内の糸の滑りやすさで選択が必要
・伸縮性…糸の伸びる能力による選択が必要
・柔軟性…結び目の強さと糸の扱いやすさによる選択が必要