CT装置を安全に使用する為の点検項目の重要性

生体現象測定記録・監視用機器

CT装置には、被爆の可能性が心配されるX線が使用されています。その為に普段の取り扱いについては勿論、日常における点検と、定期点検における点検項目に従う事は、安全に配慮するだけでなく、精密な医療機器を長く使用する上で重要です。その点検項目について紹介しましょう。

CT装置の仕組みについて

ヘリカル撮影について

CT装置は、X線管からX線を照射し、人間の体を通過したX線を検出器で受け止め、これを信号として解析し人体内部の断面画像を作成する検査用医療機器です。

大きなリング状の部分を「ガントリ(管球と検出器)」と言い、これが診察台の上の人間の周りを360度回転する事で、全体の断面図の撮影が可能となります。このガントリと、これを操作するコンピューターである「コンソール」、そして人間が横たわる寝台の3つによってCT装置は構成されています。稼働中ガントリにかかるG(重力)は48.5Gにもおよび、相当な重力が医療機器に負担をかけていると言えます。

マルチスライスCT

ヘリカル撮影以前のCT装置では、1断面ごとにガントリの回転を止める撮影方法により検査が行われていました。これを段階ごとに繰り返して全体の断面図を作成する為、検査には長い時間を要しました。

2000年頃になると、多断面を撮影できるマルチスライスCTが登場し、以降これがCT検査の主流となります。従来にも増して広い範囲を細かく早く撮影する事により、時間分解機能に優れた効果を発揮できるようになりました。

点検項目について

医療機器は安全に使用する事が絶対条件となります。下記にて詳しく見ていきましょう。

日常点検項目について

【1.機器の外見で点検すべき事】
・装置や付属品に異常や破損はないかの確認。障害物があった場合、装置が正常に機能しない恐れがあり、特に針などの金属製の細かい異物がCT装置に影響を及ぼす可能性があります。
・血液や造影剤が付着していないかの確認。
・各固定用補助具に不備がないかの確認。患者の固定が不十分だとケガや撮影不良などの影響が心配されます。

【2.システム起動での注意】
・ガントリチルトが正常に動作するようにテストする事。
・寝台の上下動や水平動が正常に動作するか確認する事。
・ライトの点灯が、患者に対して位置決めができる事。
・患者を保護する為のタッチセンサーが正常に機能する事。
・コンソール(コンピューター部分)が正常に動作する事。
・装置の各種表示灯の点灯確認とエラー表示が出ない事。
・異常音や異臭がないか動作や静止状態で確認する事。
・ハードディスク等の記憶容量が十分に足りているか確認する事。
・X 線管ウォームアップ動作が正常に終了できる事。
・ファントム(医療用の人体モデル)をスキャンし画像が正常か確認する事。
・検査室の「使用中灯」が点灯する事。

【3.関連機器について】
・造影剤注入器の動作状態と異常音の有無の確認。
・病院情報システムにあたるHISと、放射線科情報システムにあたるRISが、共に正常に動作するかの確認。
・イメージャ等の動作に異常はないかの確認。
・検査に関連するその他の機器の動作確認。

定期点検項目について

X 線 CT 装置の安全維持に必要な保守関連項目です。

【1.構成装置に対する点検】
・ガントリ
・寝台
・X 線発生装置
・コンソール
・システム装置
・オプション機能

【2.環境等共通項目】
設置場所の状態や必要な条件を満たしている事です。

・電源関係が正常である事。
・仕様上で電気の影響が安全かどうか。
・外観やシステムの表示が正常である事。
・操作環境に適しているかどうか。
・使用状況での不具合についてのチェック。

まとめ

医療機器は人体に及ぼす影響から、安全に使用すべき点検項目を日常的に毎日確認する事と、保守点検を重点にした定期点検項目も含めて実行する事で、CT装置を安全に使用できるのです。長く大切に使用する為にも、確実に点検する事が重要です。

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