ファイバースコープの仕組みを知ることで学ぶ現代医療の進歩

生体現象測定記録・監視用機器

現代医療技術及び医療機器の日進月歩の進化で、従来の医療では不可能であった医療処置が可能となりました。ファイバースコープもその一つになり、その仕組みを知ることで現代医療の進歩を振り返りましょう。

ファイバースコープとは?

1960年代になりアメリカで開発された新素材の「グラスファイバー」は各分野で注目を集めていました。医療分野でもこの素材に着目し曲がっている光を端から端へ、そのまま伝えるガラス繊維の特性を内視鏡に取り入れることに上手くいきました。このことによって胃内をダイレクトに見ることができるようになりました。

このときから医師は時差のない体内を直接的に観察することができるようになったのです。しかしこれでは胃内の写真を撮ることはできません。それから1964年に「ファイバースコープ付胃カメラ」が完成したのです。このファイバースコープでは胃の中をダイレクトに観察できるだけでなく、動的な分析もできる様になり、より高度な質的診断の道が拓かれ大きな注目を集めました。

1975年頃には、胃カメラの時代は終って「ファイバースコープ付胃カメラ」に変わり、医療的な観察の対象は「食道」「十二指腸」「気管支」「大腸」「胆道」などの部位へ広がりました。内視鏡を使って格段に診療範囲が広がり治療が可能になったのです。現在内視鏡は医療現場では不可欠な地位を得ました。ではそのファイバースコープの中身とはどの様なものなのでしょう。

ファイバースコープの仕組みについて

ファイバースコープとは柔軟性を持つ光ファイバーを束にして、その片方の先端にレンズともう片方の先端にアイピースを取付けたものです。先端から撮影した画像を管の中を通して反対側のモニターで見ることができます。物の内部を見るときにわずかなすき間があるものや、それ以上に広げられない間に、そのすき間からファイバースコープを入れて内側の様子を見ることができます。

またファイバースコープは柔らかくできている為、すき間が屈折していてもそれに沿って入れることが可能です。ファイバースコープは・コンピュータの修理・医療用内視鏡スコープ・機械加工、災害救助用など幅広く利用されています。

多種なファイバースコープ
〇工業用ファイバースコープ:パイプや機械、建物の内側など人間の目が届かない部分を観察ができます。
〇医療用スコープ:体の各部位に応じてスコープがあります。
〇ビデオスコープ:ビデオスコープは光ファイバーで画像伝送を行わず先端に超小型のCCD(個体撮影素子)が取り付けられている内視鏡のことです。
〇災害救助用スコープ:倒壊建物の内部を状況確認し生存者への空気や水の供給がでます。

ファイバースコープの変遷と進歩

ファイバースコープの先に胃カメラが内蔵され、そのカメラが超小型化し進化して変わり、やがて内視鏡システムへと変遷と進化をしました。内視鏡は光を伝送する光ファイバースコープを用いた機器です。ファイバースコープも広義では内視鏡の一部とされています。そして現在の内視鏡のシステムへと変遷してきました。

内視鏡の検査はファイバースコープの時代を経て、現在にはビデオスコープが導入され格段に画質精度が上がり、観察・診断する対象も消化器系から咽喉系まで広がりました。内視鏡の検査の主な使用目的は病変の発見や、各臓器の状態を確認するための「観察」「診断」ですが、最近ではそれらに加えて内視鏡を使用した最小限の「治療」も可能になりました。

進歩してきた内視鏡ですが、課題も抱えています。診断において形態学的特徴にとどまっており見落とされる病変があったりします。治療においては治療困難な病変で治療に伴う偶発症での課題も残されています。現在人工知能(AI)性能が飛躍的な向上して医療分野への活用が期待されており、AIシステムを利用した内視鏡診断補助システムの開発プロジェクトも進捗中です。

まとめ

日々進化をする医療機器ですが、今回ファイバースコープやその仕組みを中心にとりあげつつ、機器の進化に伴い以前はできなかったことなどを絡めて、ファイバースコープの変遷と現在の状況まで話しを進めてご紹介しました。

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