脳波計の歴史と記録用紙の送り速度について

生体現象測定記録・監視用機器

脳波計(脳波測定器)は、簡単な操作で、被験者へのストレスが少なく、必要なデータを容易に収集することが可能です。最近の機器は測定誤差も小さく、正確に脳の働きを知ることが出来ます。今回は、脳波計の歴史と、記録用紙の送り速度(紙送りスピード)をテーマにお伝えします。

脳波計の歴史

脳から発せられる電気信号、脳波は、発見されてからまだ100年も経っていません。そのため脳波についての研究は新しい分野と言えるでしょう。

1875年、サルなどの動物の脳に電気信号があることが発見され、それから実に50年近く経った1924年、ドイツの医師ハンス・ベルガーが人間の脳波を初めて記録したところから人間の脳波測定の歴史が始まりました。ハンスの名前は1929年に発表された”人間の脳電図について”という論文と共に今日まで記憶されています。

当初はハンス医師の発見した脳波のことを、ノイズではないかと疑う意見も上りました。しかし後の追試実験で脳波の存在は証明され、発見者ベルガーの名を取ってベルガーリズムと呼ばれるようになりました。

1930年代に入ると、ドイツのトニー氏、アメリカのグラス氏などによって、今日の脳波計の原型と呼べる装置が開発されました。

日本では、1936年から東北大学の松平氏が脳波計を製作したのが始まりで、次いで北海道大学、東京大学などで製作されています。

日本での実用脳波計は昭和20年代から製造が始まり、初期は真空管、次いでトランジスタが、昭和50年代からは半導体スイッチとブラウン管が使われるようになりました。その後平成時代には紙媒体に記録しない電子化が進み、現在に至ります。

紙の送り速度

海外では1990年代頃よりペーパーレス化が広がっていますが、日本国内ではまだまだ紙に記録する方式が根強く残っています。

人の脳波を計測する際、標準的な記録速度は30mm/secとされています(睡眠ポリグラフ検査の場合は15mm/sec)。これらは機種に関わらず同じです。因みに記録感度は50µV/5mmであることが多いのですが、測定に用いる機種によっては50µV/7mmとなっている場合もあります。

今後日本でも脳波計はペーパーレス化するか?

前述の様に、脳波計を用いた測定記録は黎明期から1990年代まで、紙にペンで記録する形態が続いてきました。ペーパーレス化が海外では広がっていますが、日本ではいまだ、電子的にデータを記録しつつ、紙媒体への記録も併用するタイプの脳波計が医療現場で大きな割合を占めています。

【ペーパーレス化(電子化)のメリット】
・記録が確実かつ容易である。
・電子化することでデータの管理移動が容易となる。
・判読精度が向上する(データの2次処理が可能)
・機器が小型化する。
・インク代や紙代のコストが軽減できる。
・保管にスペースを要しない。

以上の様な理由から、今後は日本でも脳波計は完全に電子化されるのではないかと予測されます。

まとめ

今回は、脳波計の歴史と記録用紙の送り速度についてお伝えしました。脳波計は近い将来、日本でも完全電子化によってますます使いやすく、正確に使用できるようになることが期待されます。今後、脳波計を導入する際、紙媒体に頼らない脳波測定器の導入を検討してみては如何でしょうか?

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