脳波計フィルタの種類と役割

生体現象測定記録・監視用機器

脳波計は、被験者の頭部に電極を装着し、脳から発せられる微弱な電気信号を記録する事で、脳の状態を知ることが出来る診断用機器です。今回はその脳波計のフィルタについて解説します。

脳波計について

脳波計は、主にてんかんや意識障害などの症状を詳しく知るために用いられます。脳波計は、低域遮断周波数を時定数で表す為、検査スタート時の標準的条件は、時定数0.3秒で、高域遮断(ハイカット)フィルタは120Hz、ハムフィルタはオフの状態となります。これらの条件を満たす事で、脳波検査で必要な0.5~60Hzの周波数を確認する事が可能となります。

そのほか、特定の周波数を際立たせる、アーチファクトの様な不要な周波数成分を取り除いて判読の精度を高めるなどの為に、フィルタを変更する場合があります。

脳波計フィルタの種類

デジタル脳波計のフィルタは主に3つの種類が使われています。アナログ信号からデジタル信号への変換前に組み込まれているアナログフィルタ。アナログ信号からデジタル信号へ変換後にハードディスクへデータを保存する際に使用するデジタルフィルタ。そして、交流障害を遮断するハム(AC)フィルタが現在医療の現場で用いられている主な脳波計フィルタです。

脳波検査をする際には、それぞれのフィルタの役割を理解して、適切なフィルタを使いましょう。

高域遮断(ハイカット)フィルタ

高域遮断(ハイカット)フィルタは、デジタルフィルタの一種で、アナログ信号をデジタル信号へ変換する際で発生するノイズを取り除く役割を担っています。脳波測定を行う際に、1000Hzで、抽出したデータは一旦、コンピュータ内に保存されます。

ハードディスクにデータを保存する際には、200Hzあるいは500Hzへ変換しして保存します。これを再標本化と呼びます。高域遮断(ハイカット)フィルタはその際、折り返し誤差が発生する事を防止する役割も担っています。そのため、「アンチエイリアシングフィルタ(折返し誤差防止)」とも呼ばれます。

低域遮断(ローカット)フィルタ

低域遮断フィルタもデジタルフィルタの一種です。脳波を記録する際に、リフィルタリング機能を活用できるように長い時間設定となっています。ハードディスクに記録された、脳波を判読する際、低域遮断(ローカット)フィルタを用いる事によって、記録時に設定された時定数に従い、低域周波数(例えば時定数が2秒であるあらば0.08Hz)を遮断し、判読し易くすることが役割です。

デジタル脳波計は、測定時ではなく再生時にもフィルタを変更することが可能です。再生時のドリフトを抑え、筋電図のノイズを軽減する機能をリフィルタリングと言います。

まとめ

脳波計は被験者の身体に負担を掛けずに脳の状態を知ることが出来る測定機器です。この記事が、各種フィルタの役割を知る手助けになれば幸いです。

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