皮膚に触れる心電図電極の感染対策

生体現象測定記録・監視用機器

昨今のCOVID-19感染拡大により、医療現場では通常より高い水準での感染対策が求められるようになりました。心電図の電極は患者の皮膚と直接接触するため、適切な管理方法が重要になります。

リユーザブル電極とディスポーザブル電極

心電図の電極には再利用する「リユーザブル」と使い捨ての「ディスポーザブル」の2種類のタイプがあります。それぞれの電極は特徴と運用方法に違いがあります。

リユーザブル電極の感染症対策

リユーザブル電極は繰り返し使えるため、長期的なランニングコスト面で優れていますが、使用時以外にも定期的な洗浄・消毒といったメンテナンスが必要になります。洗浄は汚れを除去することであり、基本は洗剤と温水を使って行います。消毒は細菌芽胞を取り除く処理方法で、液体薬剤や湿熱で行います。

清掃は、中性洗剤と逆性洗剤をぬるま湯に溶かして行います。(76.9~81.4vol%)の消毒用エタノールを柔らかい布に染み込ませて清拭・乾燥させます。このアルコール濃度は、コロナウィルス感染対策にも十分な効果を得られます。

消毒に関して、グルタールアルデヒドや塩酸アルキルジアミノエチルグリシンのような消毒液を柔らかい布含ませて清拭してください。これらの消毒液は、皮膚に接触すると、掻痒性皮疹、小水疱、紅斑といった副作用が発生する可能性があるため、測定前に消毒は行わないようにしましょう。メンテナンス後は低温低湿の環境で埃・塩分・硫黄分を含む空気と水分を避けた場所に保管しましょう。

ディスポーザブル電極の特徴

適切な管理をしているリユーザブル電極でも微細なバクテリアや真菌が残っており、無菌状態を維持するのは難しいです。しかしディスポーザブル電極は、使い切り「衛生面」と、シールを使って体に固定する「安定性」が特筆すべきメリットといえます。

デメリットとして、使い捨て故のコストパフォーマンスの悪さが挙げられます。患者の体質によってはシールによる固定のため、接着面が蒸れでかぶれるリスクもあります。

電極を付ける前に

電極を皮膚に付ける前にアルコールで拭いておくことが大切です。電極固定の前処理剤を塗布する前に清拭を行っておくと、感染症対策以外にも汚れによる計測不良を予防でき、水分により通電しやすくなります。

外装やディスプレイの消毒方法

ディスプレイ・外装・ケーブル類は、グルタールアルデヒド液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、塩化エンカベンゼルコニウム液、塩化ベンゼトニウム液、グルコン酸クロルヘキシジン液を使い消毒を行います。

安全のため、メンテナンス前は必ず電源を切り、ケーブル・リード線を取り外して行いましょう。

まとめ

心電図電極は直接患者に接触するパーツでデリケートな管理が求められますが、リユーザブルなら適切な管理と、ディスポーザブル電極の導入を検討することで安全かつ患者に負担をかけることなく計測を行うことができます。ディスポーザブル電極は完璧な感染症対策を実施できますが、用途と予算を相談しながらご検討ください。

ピックアップ記事

関連記事一覧