脳波計の仕組みを知ろう!

生体現象測定記録・監視用機器

数多くの医療現場で使われている医療機器の一つ、脳波計。被験者の身体を傷付けずに体内の様子を知る為には欠かす事のできない存在です。今回はその脳波計の仕組みについて解説します。

そもそも脳波とは?

ヒトの脳は、およそ1000億個もの、神経細胞でできています。神経細胞は0.1mm~0.005mm程の大きさです。神経細胞は軸索、樹状突起、細胞体から構成されています。樹状突起と軸索で繋がった神経細胞間の情報伝達を担っているのが、活動電位と呼ばれる電気信号の一種です。この電気信号こそが脳波と呼ばれているものです。

脳波を測定する仕組み

脳波を測定する際は、まず頭皮上に電極を取付けます。硬膜、髄液、頭蓋骨、頭皮などを通して活動電位を測定し、それらの総和を検出しています。

脳波測定でわかる事

ヒトの脳は思考や行動を司っているだけではなく、自立機能や情動も統制している器官です。脳波を計測する事で、脳機能の変化を詳細に把握する事が可能となります。

脳波測定は主に研究分野と医療分野で行われていますが、今回は医療分野に絞って解説します。医療分野での脳波測定には、高い精度を持った医療用脳波計が使用されています。そして測定した脳波は、高度な専門知識とノウハウを持った臨床検査技師と医師によって判読され、被験者一人一人の脳の状態を知るのに役立てられます。

脳波測定の用いられる主な傷病としては、頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍、認知症などに見られる脳機能低下、意識障害、睡眠障害、てんかん等があり、その他脳死判定等にも用いられます。

脳波の種類

ここからは脳波の種類を解説します。脳波には、デルタ波、ガンマ波、シータ波、ベータ波、そして有名なアルファ波などがあり、それぞれに特徴があります。これらを測定する事で、精神状態もわかると言われています。

アルファ波
周波数:8-13Hz
リラックスした落ち着いた状態。及び閉眼時。

ベータ波
周波数:13-30Hz
脳が活発な思考状態。 尚、周波数が20Hz以上の時は緊張状態と言われます。

シータ波
周波数:4-8Hz
深い瞑想状態。眠気を感じている状態。

デルタ波
周波数:<4Hz 徐波睡眠の状態。 ガンマ波 周波数:30-70Hz 興奮状態。 以上の様な脳波は、脳全体に持続的に表れる脳波で、基礎律動と呼ばれています。基礎律動は被験者の年齢によっても違いが現れます。

脳波測定装置の種類

脳波測定装置には次に挙げる様な種類があります。

・磁気共鳴機能画像法
MRI装置を用いて、脳の血液量の変化を観測する手法。

・近赤外線分光法
光と受光装置を用い、脳の血液量の変化を観測する手法。

・侵襲式
被験者の体内に装置を埋め込み、電気信号を取り込む手法。

・脳磁計
超伝導量子干渉計を用い、脳の電気信号を磁気として測定する手法。

・脳波計
脳の電気活動を、頭皮上に取付けた電極により測定する手法。

まとめ

今回は脳波計の仕組みと脳波の種類、その特徴についてお伝えしました。今後は、現在医療現場において主流となっている脳波計のみならず、それ以外の脳波測定装置も普及していくものと予想されます。さらなる検査精度の向上が期待されると言えるでしょう。

ピックアップ記事

関連記事一覧