医療機器としての手術台の駆動方式、注意点など

治療用機器

はじめに

患者が安全にかつ手術しやすい体位を保てる手術台は手術室になくてはならない医療機器です。
また、手術台は従来手動式で足踏み式、手回し方式で行われていましたが、技術の進歩により油圧電動式、電動制御式にとって替わられました。
今回手術台の概要、電動手術台の注意点などについてお伝えしたいと思います。

手術台駆動方式と問題点

以前と異なり手術室での医療機器の電動化が進み、手術台にも電気の応用がなされるようになり、手術台の遠隔操作が簡単に行えるようになりました。

例えば、手術台の駆動方式の一つである電動油圧式手術台はモーターで油圧ポンプを駆動し、電磁弁で油圧の送る箇所を指定できるものとなっています。
またこれらの手術台にはコンピューターの導入も進み、あらかじめコンピューターに手術台の形状をインプットさせ、必要なときにボタン一つで元の形状に戻せるなど便利な機能を持ったものも増えてきました。

ただこのような手術台は、便利であるのと同時にいくつか注意しておかなければいけない問題点も含んでいます。
まず、電動手術台は電気で駆動しているので電気がなければただのテーブルトップにすぎず、停電や断線が起これば動かすのすら困難になります。

さらに、機械駆動をしている最中に患者さんの体の一部を挟んだときなどには、電気で動いているため停止するのに時間がかかったりすることがあります。
この場合、患者さんは麻酔で痛みを感じないこともあり、最悪大けがにつながってしまうこともあるでしょう。
このような事故を防ぐためには、誤作動したときに緊急停止ボタンなどを事前にきちんと把握することが大切になります。

電気式の医療機器ならでは!電気にまつわる注意点

電気系統で注意しておきたいポイントは2点あります。

1点目が、漏れ電流によるショックが発生した場合の対応と交流障害による誤作動等の防止です。
漏れ電流を防ぐ方法としては、低電圧方式を用いたり、絶縁変圧器の採用が考えられています。

そして2点目が、電気メスを使用したとき、電気メスの回路とアースが共有されている場合に手術台の金属部分へ患者の体が触れてやけどすることがあるという点です。
この対策としては、対極板非接地型の電気メスを使用することなどがあります。
万一の電流漏れなどに備え、設備などに細心の注意をはかりましょう。

まとめ

手術台が他の医療機器と同様に機械化され便利になった一方で、気を付けなければいけない点が出てきたこともお分かりいただけたでしょうか?
手術室に電気の使用が始まってまだほんの数十年しかたっていないことから考えても、手術室で使用される医療機器は今後さらに改良の余地があるといえます。
機能の向上と並行してさらなる安全性の確保が望まれています。

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