心電図でわかる!心臓部の軸偏位について

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【はじめに】
心電図を測定したことのある方はわかるかと思いますが、心電図には心室の電気的な興奮の方向を体の真正面から評価した際にわかる「軸」というものがあります。
この軸は正常値の場合0-90°を向きますが、軸偏位がみられた場合にはこの軸が正常値からズレることになります。
今回心電図測定のときにわかる、軸偏位について説明していきたいと思います。

【左軸偏位とは?】

先述したように心電図の「軸」は0-90°まで(時計でいう3時から6時の方向)の範囲ならば正常値ということができます。しかしこの軸が3時方向から反時計回り向きにズレている場合「左軸偏位」となります。

軸偏位だけでは重い心臓病などにかかる心配はそれほどないですが、左軸偏位の場合は左心室肥大の可能性があり、それ以外にも肥満・妊婦・高血圧・高齢者によくみられる傾向といえるでしょう。

【右軸偏位とは?】

一方、時計でいう6時の方向よりも時計回りに軸がずれてしまっている場合には右軸偏位となります。右軸偏位の場合、左心室肥大の疑いがあるかもしくは、かなり痩せている人によく見られる傾向といえます。また若い方にも多く見られるのがこの「右軸偏位」といえます。

【軸偏位以外の伝導障害】

心臓からの電気軸で見た軸偏位について説明してきました。
では、その他にはどのような伝導障害があるのでしょうか?
以下見ていきたいと思います。

・右脚ブロックについて
心臓の刺激伝導系である右心室の収縮を行う右脚の機能が低下し、右心室の収縮が少し遅れることをいいます。この場合でも左脚からの電気信号が伝わりますので、それほど問題はありませんが、強い動悸などがある場合には精密検査をお勧めします。

・左脚ブロックについて
伝導路の中の左側の電気刺激が途絶え、右側の刺激伝導によって収縮している状態のことをいいます。虚血性疾患、左心室肥大などによって生じることが多いとされています。
また左脚ブロックだからと言って必ず悪い病気と直結することはありませんが、今まで正常だったのに突然左脚ブロックと診断された場合にはより精密な検査をしておくとよいでしょう。

【まとめ】

いかがでしたか?心電図検査でわかる軸偏位とその他の伝導障害についてみてきました。
心臓の伝導障害には今回紹介した内容のほかにも先天性の「WPW症候群」といった心臓が早く興奮する症例もあります。基本的に軸偏位だけの診断の場合、それほど心配する必要はありませんが、合併症などの疑いがある方は超音波の検査などを速やかに受けることをお勧めします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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