心電図の異常Q波による判断ポイント

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心電図を正しく見るには、正常である状態を把握しておく必要があります。その時に、ポイントになるのが、心電図に現れる「心房の興奮波」と「心室の興奮波」です。心室の興奮を示すQRS波の中での「異常Q波」について紹介しましょう。

異常Q波とは

異常を示す場合のQ波の幅は、0.04秒(1mm)以上もあり、それと同時にR波の振幅の4分の1以上である状態の場合を指しています。正常な場合の心内膜から伝わる心外膜への興奮を示す過程が消失する事により、起電力となる外向き方向が消えてしまうので、これが外側の部位の電位を陰性とする事で心電図で表われるR波が低くなるようになり「異常Q波」が確認できる事になります。

異常を示す場合に考えられるのは、心筋梗塞と虚血性疾患を疑いますが、急性期を過ぎた心筋梗塞の場合を「陳旧性心筋梗塞」と呼び、その症状に見る事ができます。特徴的な波形により、左室肥大や左脚ブロックなどでも認められることもあるのですが、健常な人の場合でも体質が関係して現れる事もあります。疑いがある場合には、直ちに専門医の精密検査を必要とする事で安全を確保します。

虚血性心疾患が念頭にある時

日常よく見る健康診断で、判断の基準となるのが「異常Q波の有無」でしょう。なぜならば、その特徴として、心筋のある部分に死んだ心筋があるという事であり、自分自身が気づかないうちに心筋梗塞が起こった事を意味するためです。

ここで重要なポイントとなるのが、波の幅が広い事が大事な条件になるのですが、波の深さも関係してきます。異常であると判断する際に、「貫壁性」の場合は、梗塞部位が壁を貫いている状態であり、「非貫壁性」の場合は、心筋の内膜にとどまっている状態になっていると言われてきました。

ところが、MRIなど身体の中身を観測できる技術によって、心臓の筋肉の状態を細かく判別する事ができるようになったのです。ガドリニウムという造影剤を使用すると、梗塞部位は白く染まる状態で識別する事ができました。

MRIで内部を見る事により、Q波が出現する事での判別が、梗塞部位が局在したかどうかよりも、それに対して大きさそのものを反映する事がわかるようになりました。

これにより、心内膜下の場合や貫壁性の場合でも、異常な波形が出現する場合には、ある程度の大きさを確認する事がわかっています。

QRSの断片化の関連

梗塞部位がどんどん小さくなりつつある時に、部分的な刺激がある場合には、不均一なパターンの波形が出ています。

1.前壁梗塞の場合や下壁梗塞に対する部位診断ができる事。
2.120 msec以下で、幅が狭い場合であっても診断的な意義を要する。
3.部位の診断だけでなく、予後の判定にも活用できる。

異常Q波の見極めポイント

①異常Q波の見極めは、深さよりも広さの方が重要。
②異常Q波がない場合でも断片化されたQRSの出現に注目。

まとめ

過去の心電図の解釈では、「異常Q波」でわかる事は心筋梗塞が起こった事を意味していましたが、MRIの診断測定と組み合わせる事により、異常部位が局在したかどうかよりも、その部位の大きさそのものが関係する事がわかり、今後の診断や予後の活用に役立てます。

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