世界に革新的進歩をもたらしたX線CT装置

診断用機器

【はじめに】
CT検査、CTスキャンと呼ばれる検査は、X線CT装置を使った検査です。
MRI検査とも似た装置ですが、MRIは磁力を使うのに対し、CTはX線を使います。
その体を透過したデータをコンピューターで計算して体内を立体的なデータにし、異常や病気がないか調べることができます。

【X線CT装置が開発されるまで】

X線CT装置が開発される元になったのは、今でも行われているレントゲン検査のX線撮影装置でした。
X線は1895年、ドイツのレントゲンが発見しました。X線は物理学界だけでなく医学界からも大きな注目をあびることになります。レントゲンはその可能性に気づいており、その証拠に世界初のレントゲン写真はレントゲン婦人の手を撮影したものでした。

そして1973年、X線CT装置はイギリスでハウンスフィールドとコーマックによって開発されました。
彼らは1979年にノーベル生理学・医学賞を受賞します。ハウンスフィールドは電子技術者、コーマックは物理学者で医師ではなかったのでなかったので医学賞を受賞したことは異例でした。CT装置の開発がいかに医学界に大きな貢献であったかがわかります。

コーマックのCTに関する研究理論を元にハウンスフィールドはたくさんのレントゲン写真からコンピューターで処理・計算を行い、断層撮影をするCT装置を開発しました。
初めて作られたCT装置は脳を撮影・検査するための物でしたが、後に全身を撮影できるCT装置も開発されることになります。

【X線CT装置の開発ウラ話】

ハウンスフィールドらはイギリスのEMI社でX線CT装置を作り開発しました。
その開発が始まった1960年代はEMI社にビートルズが所属していて爆発的な大ヒットがありました。その売上げの一部が開発費用や商用にするための費用になったともいわれています。
もしビートルズがいなかったらX線CT装置が世に出るには時間がかかったか、別の会社で開発されていたかもしれない、という話もあるようです。

【2つの世界で活躍するX線CT装置】

CT検査というと、病院で行うことを普段私たちは想像しますが、医療用だけではなく産業用にもX線CT装置が広まります。
X線CT装置は、物体に照射したX線がどのくらいのエネルギーで物体に吸収、通過するかのデータを計算することで3D(立体的)データを得ることができます。
それによって物を壊さずにその内部の状態を検査できるようになり、産業界の大進歩にも貢献しました。
医療界と産業界の2つの世界でX線CT装置は活躍しているのです。

【まとめ】

X線CT装置は医療になくてはならないものです。
レントゲン撮影の確立や、X線CT装置の登場で人類の医療は飛躍的に発展しました。これからもより早く、より安全に、より確実に人の健康を守っていくためにCTの研究は続いていきます。

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