ファイバースコープの整備点検について

生体現象測定記録・監視用機器

【はじめに】
胃カメラより細くリアルタイムで体内を見ることができるファイバースコープの登場は医療に大きな進歩をもたらしました。
しかし体内に直接入れる器具として、その取扱いは繊細さが求められています。
今回はファイバースコープ(内視鏡)の整備点検について説明したいと思います。

【整備点検の必要性とは?】

ファイバースコープ(内視鏡)は胃以外にも、食道・気管支・十二指腸・胆道・大腸などあらゆる臓器内を見ることができ、検査や治療に使われる頻度も多くあります。
そのため、ファイバースコープに付着した患者の血液・粘液などの体液から感染症が広まる可能性があります。そのため使いまわすことなく、院内感染を防ぐためにも毎回の洗浄・整備点検が非常に重要な工程となっています。

【整備点検の内容】

ファイバースコープ(内視鏡)には日常点検と定期点検を行うことが決まっています。
・日常点検
始業点検と使用前点検、そして使用後に洗浄し適切に保管する必要があります。そしてその点検記録は3年以上保管しなくてはいけません。

1.始業点検
毎日始業時に行うファイバースコープ(内視鏡)検査や治療に必要な機器の点検です。
システムカート、システムプロセッサ、光源装置、画像モニター、吸引装置、画像記録装置、CO2送気装置、送水装置などに
・破損や変形、損傷がないか。
・電源コードやケーブル・コネクタに破損、ゆるみ、ねじれがないか。
・その他その装置の異常はないか。
を確認します。
電気手術器、内視鏡洗浄消毒装置も同様に点検を行います。

2.使用前点検
使用前に行うファイバースコープ(内視鏡)検査や治療に必要な機器の点検です。
内視鏡や内視鏡の各部分やつなぐケーブルに
・破損や異常がないか確認します。
・吸引ボタンと送気・排水ボタン、鉗子栓に破損や汚染がないか確認します。
・各種ボタンに異常がないことを確認して内視鏡に装着します。
・電気接続部分のコネクタに異常がないか確認します。
・内視鏡の軟性部がきちんと湾曲するか確認します。
・内視鏡から患部などを見る際アングルの固定ができるかどうか確認します。
・内視鏡検査や治療に必要な機器と内視鏡がうまく連動するか確認します。

3.使用後の点検と洗浄および保管
使用後、内視鏡検査や治療に必要な機器と内視鏡に異常が見られないか点検した後、十分な洗浄を行い保管します。

・定期点検
専門知識がある臨床工学技士あるいは修理業者に委託し、動作確認と安全性確認を行い、点検報告書を作成します。

【まとめ】

ファイバースコープ(内視鏡)は人の体内に入れる装置であるため、このように丹念な整備点検が欠かせません。しかし、医療現場は人手が足りなかったり、人員が偏ったりする時期も考えられるので、委託業者に任せれば安心度や安全がさらに確保されるでしょう。

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