手術台上の必需品~照明について~

治療用機器

【はじめに】
手術台の上にある照明は「無影灯」と呼ばれ、照度が20000lxほどで、手術台に乗せられたものに影ができないように工夫された構造になっています。
今回この「無影灯」について紹介したいと思います。

【無影灯の特徴】

手術のとき、手術台に乗せられた対象物に影ができてしまってはオペレーション(手術)がうまくいかなかったり、また手術台上の照明が照射対象(患者や医師)に熱を与えてしまっても手術はうまくいきません。手術台の上に設置される「無影灯」は単に明るさだけでなく電球が備え付けられている角度や放熱機構を備えていなければいけません。
また、照射する対象の本来の色が浮かぶように高い演色性にも注意が払われています。

【近年LED化されている無影灯】

従来の無影灯は「手術灯」とも呼ばれ、自然光により近づけるため、ハロゲンの白熱灯を使用していました。
しかし近年無影灯のランプ寿命の引き延ばしや、ランプから放射される熱による問題の解消のためLEDの無影灯が開発されています。例えば従来の手術灯の場合1年に1回の交換が必要だったのがLEDに換えるだけで8~10年ほど寿命が延びます。
また、LED光源の無影灯は照射面よりも背面に熱を発生しやすいため、熱による対象物への負担が軽減できます。
さらにランニングコスト、消費電力の面からみてもLED無影灯にはメリットがあります。

手術台に使われる照明はLEDを使用することで照度100000lx以上、演色性評価95以上といった高い性能基準をクリアすることができ、加えて色温度変更機能付きの性能が付いたものの開発も進められています。
LED無影灯は調光や色温度の変更も容易なため手術環境の構築に適しているといえるでしょう。

【ウェアラブル手術用照明もある!?】

最近ではいろいろな無影灯も開発されていますが、その中でもウェアラブル(装着型)の無影灯もあります。
この無影灯は従来の「上から」照射するタイプの無影灯とは異なり、より対象物(患者)の近くから光を照射でき、なおかつ低反射なので目に光が入ってもそれほどまぶしくないような設計になっています。
さらに照度145000lxの高照度かつ高演色のため血液の色などもはっきりと視認できます。
このような照明を使用している医療機関はまだまだ少ないかもしれませんが次世代型の無影灯として活用が期待されています。

【まとめ】

手術の際に用いられる照明はオペで重要な役割を担っています。
今回紹介したような無影灯に関する基本的な知識をしっかり把握し現場で役立てていただきたいと思います。

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