MRIの造影剤と時間の関係について

生体現象測定記録・監視用機器

MRIとは、磁場の特性を利用して、人間の体内に多く含まれる水分の基となる水素原子核から発生した微弱な電波を機器に取り込む事で画像を作り出します。しかし、場合によっては、造影剤を使用しないと診断が出来ない場合があります。MRIの造影剤と時間の関係について紹介しましょう。

MRI造影剤が必要な理由について

通常のMRI検査では、造影剤の必要性はないのですが、より正確な精度を求める上では、造影剤の使用も、やむを得ないのです。造影剤の役割は、検査する部位などによって、通常のMRI検査では、判別しにくい箇所の撮影に使用されるものです。造影剤を使用する事で、乳白色の画像が映し出され、黒い画像のコントラストだけでは、判別しにくい画像を可視化できる効果が得られるのです。

血管に注入された造影剤によって、血管ばかりだけでなく、臓器や病気部位の血流状況がわかり易くなるのです。このように正確な診断をすることや、特定の部位に使用される事も、すべては患者さんの診断をより詳しく解析する為なので、病気の予防や治療に際して必要な処置と言えるのです。

造影剤の投入方法について/h2>
静脈注射による静注造影剤の方法と、飲み薬による経口造影剤の方法があります。

①静注造影剤の場合
ガドリニウム製剤が一般的に使用されており、画像のコントラストを強調する為の、化合物として有効になっています。投与薬としては、安全性が認められていますが、場合によっては軽い副作用もあり、患者さんの状態には不向きな場合もあるので、造影剤使用の際には、担当の医師と、使用に適しているのか相談する必要があります。

※注意点について
〇ぜんそくの持病がある患者や、治療の経過が5年未満の方はご相談下さい。
〇MRI造影剤を使用した事があって、副作用を経験された場合も注意しましょう。

②経口造影剤
クエン酸鉄アンモニウムの造影剤で「フェリセルツ」は、飲み薬として口から使用します。

※注意点について
〇胃や腸管に出血や炎症がある場合には使用を中止して下さい。
〇薬に含まれる鉄分によって鉄アレルギーのある方は使用できません。

MRI造影剤と時間の関係

体内中の水分や血液が、原子レベルの水素原子の原子核=プロトンの磁場の影響を受け、磁場による影響を平衡状態にもどす事で、画像の状態を機器が作り出しています。造影剤の役割は、体組織内の核の緩和時間を短縮する役割も担っています。これによって、時間の短縮が出来る事と、より正確な診断画像を得る事が出来るのです。造影剤は、およそ24時間で水分として、体外へ放出されますので、使用後には、水分補給を積極的に行いましょう。

MRIの検査は、約10分程度から、長くても1時間程度で終了する事が出来ます。プロトンの密度とその状態を縦緩和のT1で表し、横緩和をT2で表しています。T1強調画像では、水が低信号となり、脂肪が高信号として検出されます。ガドリニウムをベースとした造影剤(GBCM)として投与した場合に、撮像はConventional SE法によるT1強調像として、一般的な時間は5分程度を必要としていました。

静脈投与された造影剤の効果は、体内をめぐるまでに、2~3分あれば、平衡相(へいこうそう)にもどりました。造影剤の投入後には、30~40秒後(動脈相)が現れ、70~80秒後(門脈相)が現れ、150~240秒後(遅延相)の3つの区間においてどの血管が映し出されるかで、平衡相の観察を行います。

医療機器の進化によって、物体の最小距離を示す空間分解能に影響を与える事もなく撮像時間を短縮する技術によって、長方形F.O.V・高速SE法・Parallel MRIが進化を遂げています。これによって、Conventional SE法での撮像時間が、5分から1~1.5分程度に短縮する事が可能になったのです。

しかし、単純造影検査においては、投与直後に今まで通りに検査を行った場合、異なる画像の効果が表れる為に、十分な時間を待つ事で正確な造影効果が期待できるのです。平衡相までに至る時間には、十分な待ち時間があった方が、より正確な画像処理が行えて正確な診断に繋がるのです。

まとめ

MRIの造影剤と時間の関係については、医療機器の進歩によって、診断におけるスピードは、正確な診断や時間の効率化に貢献してきています。しかし、確実な診断を行うには、時間の短縮が目的ではないので、安全性と正確性において時間の効率化をはかる事だと考えます。

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