血圧計は服を着たままで正確に測れるのか?

生体現象測定記録・監視用機器

病院の入院患者は、バイタルチェックを必ず日に何度か受けます。もちろん初診で検診に行ってもチェックを受けます。バイタルチェックは体の状態を知る基本的な要素です。そのバイタルチェックの1つに血圧を測る事が含まれています。その際に血圧計で服を着用したままで、正しく測ることが出来るのだろうかと思われる事はないでしょうか。そのことについてご紹介します。

様々な服を着用して計ってみた

血圧計は服を着たまま正確に計測が出来るのでしょうか。普通に考えるならば正確には測れないように思います。ここでいくつか服を着たまま計測をしてみましたので、その計測結果をご紹介しましょう。

測定の仕方は、カフ式と呼ばれる腕に巻いて測る血圧計を使用して、半袖シャツから始めて段々と重ね着をしながら血圧を測るというやり方で試してみました。

①半袖シャツの素肌状態
被験者の素肌に巻いて測った場合、【最高血圧124mmHgと最低血圧71mmHg】となりました。最高血圧とは「収縮期血圧」で、最低血圧は「拡張期血圧」と言われています。最高血圧は心臓が血液を押し出したときで、最低血圧は血管を血液が下流に流れて行った後の状態の圧になります。

②長袖ヒートテックを1枚着用した状態
最高血圧は124、最低血圧が71でした。素肌のときと変化がありません。

③長袖ヒートテックの上に極暖の長袖ヒートテックを着用した状態
最高血圧は125、最低血圧が68となりました。あまり変化はありません。

④2枚重ね着の上に、薄めのダウンジャケットを着用した状態
最高血圧は118、最低血圧が66となりました。結構下がりました。

⑤更に厚手のダウンジャケットを重ね着した状態
最高血圧は114で、最低血圧が78となり更に大きく変化しました。
この様に重ね着をしていくと血圧が全体的に変化して、正確な血圧を測定することは出来ませんでした。

望ましい計り方

家で血圧を測ると120位なのに、病院の検査で測ると140位になる方がおられると思いますが、緊張感やそのときの動きでも血圧は変化をします。病院で測ると自宅で測ったときよりも高い数値が出る事などがあります。血圧はそのときの状況で微妙に影響を受け変化します。

病院にて血圧を測る場合、以前は腕まくりをした状態で測っていましたが、現在では服のうえから行っています。理由は腕まくりをするとシャツがきつい場合など、ひじの上で腕が圧迫され正確な測定が出来ないからです。

基本的にはシャツを脱いで裸の腕を出して測ることが推奨されていますが、服を脱ぐ動作または気温の変化・裸を見られるなどのストレスから、正確な血圧を測定は出来ません。実際には、厚手の上着やセーターなどは脱いで頂いた上で服の上から血圧計で測定します。

病院やクリニックでは、上腕式(アームイン式)などの血圧計が設置されている所や、看護師さんが聴診法(コロトコフ法)を用いる場合が多いです。聴診法は、コロトコフ音が聞こえた時の目盛を収縮期血圧(最高血圧)として測り、コロトコフ音が消えた時点の目盛を、拡張期血圧(最低血圧)として測定します。

まとめ

今回、服を着たまま血圧計で、正確な血圧が測れるのかということを書いてみました。厚手の服でなければ、シャツや薄手のブラウスの上からでも血圧を正確に測定できることが分かりました。正常な血圧を維持し健康に留意しましょう。

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