人工呼吸器の仕組みと目的

生体現象測定記録・監視用機器

呼吸運動を外部からの力によって維持する医療機器、それが人工呼吸器です。患者が自発呼吸できない場合は強制的に呼吸運動を行わせ、自発呼吸できる場合は負担をかけないように最適なサポートを行います。その機能や目的などを含めながら機器の仕組みについて解説していきます。

呼吸不全とは

何らかの原因で血液中に酸素が取り込めていない状態を「呼吸不全」と言います。具体的にはPaO2(※1)が60mmHg以下の状態を言います。この条件下においてPaCO2(※2)の値が正常値かどうかで以下の呼び方になります。

〇PaO2 異常、PaCO2 正常(35~45mmHg)→ 1型呼吸不全
〇PaO2 異常、PaCO2 異常(60mmHg以上)→ 2型呼吸不全

PaO2 60mmHg以下の状態が1ヶ月以上続いている場合は慢性呼吸不全と呼びます。

※1 動脈血酸素分圧:動脈の血中酸素濃度の割合
※2 動脈血二酸化炭素分圧:動脈の血中二酸化炭素濃度の割合

人工呼吸器の方式

人工呼吸器は主に、1型、2型呼吸不全の患者さんに用いられます。その使用目的については2点あり、そのうち1点はガス交換の改善、もう1点は呼吸運動の補助が挙げられます。
呼吸を維持させる方式としては、胸郭外陰圧式と気道内陽圧式の2通りのタイプに大別されます。

両者のうち主流となっているのは気道内陽圧式です。これは、患者さんの呼吸器官に酸素を含んだ陽圧のガスを送り、その圧力によって肺を膨らませる方式となります。しかし強制的にガスを送り込む事により、場合によっては肺にダメージなどを及ぼすリスクが生じます。そのため、人工呼吸器の使用は最小限に留めなくてはなりません。

人工呼吸器の換気モード

換気モードは主に、強制換気と補助換気の2種に大別されます。自発呼吸が無い重篤な患者などは強制換気から始め、自発呼吸が徐々に戻ってきたら補助換気に移行していきます。最終的には人工呼吸器からのウィーニング(離脱)を目指します。

〇強制換気
患者の自発呼吸が無い場合に使用され、圧力や換気量、呼吸回数を人工呼吸器が測定し、呼吸の全てにおける最適な動作を人工呼吸器が行います。

〇補助換気
患者の自発呼吸をサポートしつつ換気するモード。患者さんに自発呼吸が見られる際、あるいは容態が改善し自発呼吸が戻ってきた際に使用する事となります。

人工呼吸器の各モード

〇VC:ボリュームコントロール
強制換気の1種で、呼吸1回におけるガス量・呼吸回数・吸気の時間などを設定します。強制的に換気がなされる事から、肺圧の調整および自発呼吸との同期にリスクがあります。

〇PC:プレッシャーコントロール
強制換気の1種で、肺圧を一定にして吸気を送り込む方法です。実施に当たっては肺圧と吸気時間を設定する事となります。圧力が一定以上となるのを避ける換気となり、気道内圧を低く抑える事ができます。

〇SIMV:同期型間欠的強制換気
強制換気+自発呼吸のモードです。換気の合間に吸気努力(自発)が生じた場合それを感知し、自発呼吸を促す作動へ変わります。自発呼吸が途絶えた場合には、再び強制換気が行われます。

〇CPAP:持続的気道内容陽圧
吸気および呼気の全般において一定の圧力を維持します。機能的残気量が増加する事で、換気血流比や横隔膜機能の改善、無気肺の予防などの効果が現れます。人工呼吸器からの離脱時によく使われます。

〇PS:プレッシャーサポート
吸気の間だけ一定の圧力をかけます。同調性に優れているのが最大の利点です。呼吸負荷軽減の調整が容易となります。

まとめ

人工呼吸器の役目は最適な呼吸運動を行い、最終的に患者さんから人工呼吸器を外す事にあります。自発呼吸に戻ってくるかどうかを適切に判断し、患者さんに負担をかけないように最適な設定をする必要があります。

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