手術台とライト及び手術室の照明環境 ~無影灯~

治療用機器

病院での手術中に、医師の手元や手術台上の患者の病変部位を明るく照らすことができなければ、手術が難しくなることは言うに及びません。施術にあたりどのような照明ライトの状態が良いのでしょうか。今回は、手術に使うライトについて解説します。

手術台とは?

手術台とは、患者が手術を受ける際に横たわる台の事です。患者が横たわる事や、座る部分との高さと傾斜を調整するための部分から成ります。例えば、ENT手術のときは半座位、脊柱手術のときは伏臥位のように、色々な体位に対応するものでなければなりません。

手術台はどのように機能するのでしょうか。手術台は電動で高さや傾斜角などが決められます。主に電動式台と油圧式台があり、また異なる動作モードを組み合わせることができる台(電動差動装置で調整可能な台と、油圧差動装置で調整可能なヘッドレストを組み合わせた物)があります。

手術台上の患者を照らすライト

手術室で使うライトは、無影灯と呼ばれる器具で、2万lx以上の照明を得られ器量器具及び手をかざしても照射対象に影が出ないよう電球が多数取り付けられています。さらに照射対象に熱を与えないよう放熱の構造を持っています。

また、ただ高い照明度を有しているだけではなく、対象本来の色見を再現できるよう高度な演色性が維持されています。術式によっては光の位置を調整する必要があるので、この照明器具本体は手術台に近い位置まで上下・左右に移動できます。近年の照明器具には高い次元の演色性も備えているLED化が進められています。

LEDの光源熱は照射面ではなく背面に起こることが多く、患者への負担が軽減されます。この光源は色温度や照明度の調光が容易で、快適な現場を得ることが可能です。

LEDを使ったこの照明器具は、最大限効率を上げるため、単色のLEDを多く配置することで無色の光を再現できるよう製品化されたものがあり、器具本体を見るとレッドやブルーに発光するLEDを見られます。

近年の術用照明は、照度10万lx以上・演色評価数95以上・色温度変更機などの高性能が求められるようになっていますが、この光源の高性能化によって専用の無影灯が開発され現場で用いられています。

手術室の照明状態

基本的には台の中央に無影灯を設置して、台を口の字に囲むように照明を設置します。この時に、注意すべきこととして周りが暗いと施術している手元との間に明暗差が起こり、目を疲れさせるためバランスが必要です。

一般的には、部屋全体の照明を750~1,500lx程度の照度にして、手術灯と全般照明を設定しスタッフの目の疲労を軽減し作業効率を向上させ、精神ストレスを抑えるようにします。

まとめ

手術室の照明環境は、手術台と台を照らすライトだけでなく部屋全体の照明バランスによって最適化を測ります。医師の手元、患者の患部を照らす無影灯を中心に話しを進めてみました。

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