基本的仕組みから把握する、ファイバースコープの種類

診断用機器

人体の開口部から挿入し、体内の様子を視覚的に捉えることができるファイバースコープ。今や医療において欠くことのできない機器と言えるでしょう。原理や構造など基礎的部分に触れながら、どのような種類が存在するのか見ていきたいと思います。

ファイバースコープとは

先端からもう片方の先端へと、光を伝達させる性質を持つ繊維素材・光ファイバー。これを数千~数万本単位で束ねケーブルとし、一端に対物レンズ・もう一端に接眼レンズを取り付けた機器がファイバースコープです。

これには対物レンズが捉えた光景を、接眼レンズ側で見ることができるという特徴が備わっています。それによって、物体の内部を観察する場合、外側に開いた小さな穴などから対物レンズ側を内部へ押し入れることにより、物体を分解することなく内部の様子を目視することが可能となります。

途中でケーブルが曲がったとしても、光ファイバーの特性により問題なく接眼レンズ側から写像を見ることが可能です。医療の分野においては、人体を切開することなく体内を観察する機器として重要な役割を担っています。

ファイバースコープの原理は、その主要部品である光ファイバーの特徴に基づくと言っても差し支えありません。

光ファイバーは石英ガラスまたはプラスチックを主原料とし、芯に相当するコア・その周囲を覆うクラッド・外層部に当たる被覆の3層で形成されています。コアが持つ光の屈折度を、クラッドの屈折度より高くすることによって、先端から管内に入った光がコアに集められてもう一方の先端へと伝達される仕組みとなっています。

そもそも人間に備わっている「物を見る」という能力は、物体に当たった光が反射し、それが目に入り込んでくることからなされる現象です。光ファイバーを用いたファイバースコープでは、先端から入った反射光が管内を通って、接眼レンズなどが取り付けられた観測者側に届くことによって、先端部分で捉えられた光景を見ることが可能となるわけです。

機器の高性能化に伴い、1990年代以降は対物側にCCD(超小型撮像素子)カメラを用いたビデオスコープが主流となっています。これにより、従来の対物レンズタイプより解像度が高まり、医療分野ではいっそう精密な検査が可能となりました。

主なファイバースコープの種類

ケーブルの柔軟性により、入り組んだ人体内部でも自在に挿入可能なファイバースコープは、検査目的や医療科目ごとに以下のような種類が存在します。

▽咽頭ファイバー:主に耳鼻咽喉科にて、咽頭・喉頭・食道・鼻腔の検査や観察に用いられます。
▽ファイバー気管支鏡:気管および気管支など、呼吸器系の検査で使用されます。
▽ファイバー膀胱尿道鏡:尿道から挿入され、尿道・膀胱内腔など泌尿器に関連する検査専用タイプです。
▽血管内視鏡:血管内に挿入し、血流に関する異常などを精査するためのファイバー機器です。

まとめ

以上のように、ファイバースコープの主要部品に相当する光ファイバーの特徴など、基礎を踏まえながらその種類について確認してまいりました。ファイバースコープに限らずあらゆる医療機器において、その特徴を熟知することが、より良い医療実現に活かすための一要素と言えます。

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