医療レーザーメスの種類と波長について解説

治療用機器

医療用レーザーメスはレーザー光線の熱エネルギーを利用して外科手術、美容外科、眼科、歯科、皮膚科などで利用されています。
しかし、医療用レーザーは万能ではなく、思わぬ事故や副作用をもたらすリスクもあります。
医療用レーザーは目的に合わせて機器や波長、パルス幅を選択する必要があるのです。

 

○レーザーの波長と種類とは?

レーザーの波長とは、空間を伝わる波がもっている周期的な長さのことを意味します。波長やパルス幅(発光時間)により治療の目的が変わります。
医療用レーザーは大きくわけて「高出力レーザー」と「低出力レーザー」に分けられます。
高出力レーザーは組織の切開や切除、血液の凝固などに使用されます。レーザーメスはこちらに該当します。
一方で低出力レーザーは血行促進や筋肉の緊張を低下させたりなどの目的で使用されます。

 

○代表的な医療用レーザーと波長

医療現場でよく使用されるレーザーの特徴と波長について解説していきます。

●CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)
水に吸収されやすい性質をもっているため、組織の水分に吸収されて熱を発生させます。外科手術にてレーザーメスとして用いられ、美容外科ではホクロの除去、歯科でもよく使用されます。
出力が大きいため皮膚への使用では傷跡が残ってしまうリスクもあります。
【波長=10.6μm】

●Nd:YAGレーザー(ヤグレーザー)
イットリウム・アルミニウム・ガーネットの3種類からなる結晶(YAG)にイオンのネオジウム(Nd)を混合したものを媒体にしており、水分に吸収されにくいという特徴があります。そのため、深部での凝固や膀胱内の治療、美容外科ではレーザー脱毛や刺青の除去など幅広く用いられています。
【波長=1064nm】

●ダイオードレーザー
脱毛でよく用いられるレーザーです。
他のレーザーでは難しい産毛の脱毛も可能で、比較的治療による痛みも少ないと言われています。
【波長=950nmまたは810nm】

●ダイレーザー
血管の赤い部分に吸収されやすいという特徴をもっています。
異常がある箇所にのみ反応して赤アザや静脈瘤の改善、毛細血管拡張症の治療に使用されます。
【波長=577nm】

●ルビーレーザー
発振物質にルビーを用いたレーザーです。
瞬間的に強い光を発して異常組織を破壊します。
メラニン色素がルビーレーザーの赤色の光を吸収しやすいという特徴を利用してホクロ、しみ、そばかす等の除去や脱毛に用いられます。
【波長=694nm】

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