骨折の検査~レントゲンとMRI~

診断用機器

【はじめに】
骨折の検査と聞いてすぐに思い浮かぶのはレントゲン検査ですよね。
実際に病院でも、骨折の疑いがある場合にはまずレントゲン検査が実施されることがほとんどです。
レントゲン検査の結果、骨の損傷が確認されれば骨折と診断されます。
ですが、骨折といってもすべてがすべてレントゲンで確認できるわけではありません。
そのような場合に活躍するのがMRIです。
今回はMRIの特徴とどのような骨折のケースにMRIが使用されるのかをご紹介します。

【MRIの特徴】
MRI(Magnetic Resonanse Imaging)は、日本語では磁気共鳴画像と呼ばれます。
MRIは、その名の通り磁気と電磁波によって画像を作ります。
人間の身体はその約7割が水分でできています。MRIは磁気と電磁波を使いその水分に含まれる水素原子の反応を読み取り、その情報から画像を作り出していくのです。このためMRIではレントゲン検査で使われる放射線は使用されません。当然、被ばくの心配はありません。
また、さまざまな角度から見た断面図を得られることもMRIのメリットと言えるでしょう。
一方で、MRIのデメリットとしては、撮影時間が通常30分程度とレントゲンに比べて長くかかることが挙げられます。
加えて、MRIを撮影する際には、狭くて大きな音のする空間に入らなければなりません。
長時間にわたってそのような空間に入らなければならないことは、人によっては負担に感じられるかもしれません。特に閉所恐怖症の方の場合は、かなりの苦痛となってしまうことも考えられます。
そういった問題を解決しようと、最近では開放型のMRIも使用されるようになってきています。

【骨折とMRI】
では、どのような骨折のケースにMRIが役立つのでしょうか。
簡単に言うと、レントゲンでは判別できないケースということになります。
まず挙げられるのが、骨が完全に折れているのではなく、ヒビが入った程度の場合です。
また、同じ箇所に繰り返し力がかかることによって起きる疲労骨折の場合も、レントゲンでは判別できないことが多くあります。
骨挫傷と呼ばれる骨の内部のみが損傷しているケースも、レントゲンで判別することはほぼ不可能です。
これらのようなレントゲンでは判別できない骨折のことを不顕性骨折と呼びます。
MRIを使用すれば、レントゲンでは確認することが難しい骨内部のわずかな出血やむくみなどを知ることができるので、不顕性骨折を判別することが可能となるのです。

【まとめ】
このようにMRIは大変な優れものではあるのですが、MRIだけで全てがわかるわけではありません。
そのため、診断はその他の所見も考慮して総合的になされます。
なお、MRIは磁気を利用しますので、身体の中に金属が入っている場合は使用できないことがあります。
また、心臓ペースメーカーを付けられている方の場合も、誤作動が発生する恐れがあるため使用できないケースがあります。

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