CT装置における検出器の役割?

診断用機器

身体内部の状態や病態の状況をいち早く把握して処置することは医療機関全般に求められています。明確に状態を知り、状況に対応した措置を講じるには高度な医療検査機器が必要です。なかでもCT装置は、そのような高度な検査機器の一つです。今回、この検査装置の検出器について解説します。

CT装置の構造

この医療検査機器は、主に患者が横たわる部分の寝台・輪状のX線管と検出器から成るガントリと言われる部分・ガントリで撮影され画像をコンピュータ処理する操作コンソールという部分が構成された機器です。

X線管と検出器とが対になってドーナツ状のガントリ内部を0,275秒で回転して、両者が回っている中を寝台が行き来して連続撮影を行います。

撮影では、X線管から発生したX線が寝台上にいる患者さんに照射されます。その身体を透過した後のX線を検査データとして捕捉するのが、検出器の役割です。

新しい検出器?

従来の64列検出器では、撮影範囲が1回転で3~4センチと限定されていましたが、新たに導入された検出器は、今までの5倍「320列」に増えたことによって16センチの撮影が1回転で心臓や頭部などを撮影可能となりました。

特に心臓の検査では、最短1心拍で高速撮影ができるようになり安全、安心に検査を受けられるようになりました。

検出器と撮影スライス厚

ガントリから検出器を取り出すと、弓なりに湾曲しています。どうしてか?というと、素子の塊である板状のモジュールが横になり湾曲しながら連なっているため弓状になるのです。

撮影スライス厚とは、この素子幅で撮影できる厚みを言います。つまり、素子幅1個分の厚みとなるわけです。しかし、専門書などでは撮影スライス厚を検出器の素子の幅で模式的に表しており、素子の実寸であるかのように表現しているので注意を要します。

モジュールは、各社で開発及び製造していますので、型は異なります。ちなみに、日本社製品はハイブリッド型・ドイツ製は不均等型・アメリカ製は均等型などを作っています。

X線管の種類について

X線を照射するX線管側のことに少し触れたいと思います。用途に応じて多様な形状の管がありそれを使うための高圧電源や制御回路もいろいろとあります。ここでは、その種類についてご紹介しましょう。

管には、【シンプルなX線管・Be窓付・回転陽極型・セラミック・エンドゥ・X線回折装置用・マイクロフォーカス・開放型(透過ターゲット型、反射ターゲット型)】等の種類のX線管があります。

AIによる高画質効果

CT装置の画質は、X線量と密な関わりにあり、高画質を取得するには患者の被ばくが生じ、被ばくを抑えると画質も劣化するという関係にあります。そこでAI技術を用いることで、低画質な画像を高画質に変えることが可能となり、患者の負担を飛躍的に低減することが可能となりました。

まとめ

人体内部の病変や状態、臓器など状況を素早く把握できるCT装置は、検査や医療処置に欠くことのできない機器です。医療機器は日々、進歩しており安全と患者の負担を低減すべく開発研究されています。この度はCT装置の検出器を中心に解説しました。

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