アネロイド血圧計で正確な測定を行う、リリースバルブの有用性

生体現象測定記録・監視用機器

アネロイド血圧計は「ゲージ」「カフ部分」「送気球」「送気球の末端」「リリースバルブ」で構成されます。カフとは加圧するためのパーツで、ゴム球を圧縮し空気を送り込み加圧調整します。加圧後、ゆっくり空気を抜き測定に入りますが、この時リリースバルブが非常に重要な役割を担っています。

アネロイド血圧計

医療で広く使用される血圧計には、上腕に巻くタイプと、主に簡易的な自動血圧計に見られるような手首に巻くタイプがあります。

上腕で検査を行う血圧計は、心臓から非常に近い位置のため正確な測定が可能です。上腕で測定する血圧計の中でもアネロイド式は、測定精度が高く、水銀血圧計よりも安全で、現在も多くの医療現場で採用されています。

測定時のリリースバルブの使い方

カフの空気を抜いた状態で腕を通し、カフの下部が肘上2~3cmの位置となるように固定します。

リリースバルブは反時計回りに、ねじを緩めることで少しずつ排気ができるようになります。リリースバルブを閉じて十分な加圧をした後、排気速度が毎秒2~3mmHgのペースとなるよう調節しつつリリースバルブを緩めていきます。

コロトコフ音(動脈をカフで圧迫した時に発生する血管の音)が聴診器から確認できたら、その値を最高血圧(収縮期血圧)とし測定を行い、音が聞こえなくなった時の測定値を最低血圧(拡張期血圧)とし測定を終えます。

アネロイド血圧計で測定する際の注意点

カフを300mmHg以上の圧力での加圧や2分以上にわたる長時間の加圧では誤差が生じ、的確な血圧測定値が得られません。

加圧による測定の誤差を防ぐためには、血圧が不安定な場合は200mmHgまで加圧、安定している場合は、これまでの測定結果から20mmHgを足した値まで速やかに加圧します。
バルブはしっかり閉め、空気漏れがないか測定前に確認し、リリースするタイミングは加圧後早めに行いましょう。

リリースバルブを緩めてもコロトコフ音が確認できない場合は、140mmHgまであげる過程でコロトコフ音が聞こえるように調整します。

「脳梗塞で麻痺が残っている状態」、「乳がんでリンパ節郭清を行っている」、「シャント造設を行っている」、これらに該当する患者の方には絶対に血圧測定を行わないようにしましょう。また、MRI機器との併用する場合は、MRI室用アネロイド血圧計を使用するようにしてください。

保守・点検方法

血圧計はノンクリティカル器具に分類されており、基本的にすべてのパーツにおいてアルコールによる清拭が可能です。各パーツの接続部が空気漏れせず接続されているか確認し、リリースバルブの可動点検も行います。

アネロイド血圧計はデリケートな医療機器です。適切な管理を行っていないと測定結果の誤差が広がり正常な運用ができなくなってしまいます。そのため、定期的なメンテナンスと正しい使い方が求められます。

まとめ

リリースバルブはアネロイド血圧計の正確な測定に大きく関わっています。アネロイド血圧計運用に必須のパーツであり、末永く使っていくためにも使用方法と特徴を理解し正しく計測しましょう。

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