麻酔器の構造はどうなっているの?

治療用機器

【はじめに】
外科手術には麻酔器が必要になります。歯医者などである局所麻酔と違い、手術に使用する麻酔器は全身麻酔です。
麻酔器は外科手術の目的に合った構造をしていますが、この記事ではそれがどのようなものか今回は見ていきたいと思います。

【麻酔器の歴史】

世界で初めて麻酔器を使い全身麻酔を行ったのは1846年、アメリカのモートンという歯科医でした。1902年、1924年ドイツで現代に近い麻酔器が開発されましたが、日本で麻酔器を使うようになったのは第二次世界大戦後でした。1975年に日本で開発された人工呼吸器と組み合わせる麻酔器が現在のほとんどの形となっています。

【外科手術で全身麻酔をする目的】

手術時に全身麻酔をする理由の一つはもちろん患者さんが痛みを感じないようにするためにあります。
しかし、全身麻酔をして患者自身には意識がなくても、人の体には自然に傷をつけたら治そうとし血圧が上がったり脈が速くなったりする活動が出てきます。
そのため全身麻酔には筋弛緩薬などで筋肉を弛緩させ、その活動を抑える目的もあります。
患者さんには痛みや恐怖を感じさせず、医師がスムーズに手術を行うために全身麻酔があり、そのために麻酔器は作られているのです。

【麻酔器の構造は大きく分けて2つ】

麻酔器は大きく分けると、「ガス供給部」と「呼吸回路部」という2つの構造に別れています。
痛みを感じなくさせるために麻酔を行うと前述しましたが、全身麻酔をすると呼吸も弱くなってしまいます。そのため呼吸を管理するための箇所が必要になるのです。また、その麻酔薬そのものをうまく患者さんが吸い込むためでもあります。

・ガス供給部
気化した麻酔薬に酸素、亜鉛化窒素(笑気ガス)などを混ぜて麻酔ガスを作る部分です。
気化を行うための気化器と、必要な量の分を測定する流線計という器具があります。
手術中に麻酔薬などの量をきちんと患者さんに供給するためです。

・呼吸回路部
ガス供給部で作った麻酔ガスを循環させ、患者さんの呼吸を管理する部分です。
患者さんに直接着けるマスク、呼気弁、呼吸バッグやあまった麻酔ガスを排出するためのバルブ、二酸化酸素を吸収するためのカニスタ(キャニスター)と呼ばれる器具があります。

【麻酔器と麻酔科医】

全身麻酔には麻酔器が必要ですが、それを管理するのは麻酔科医です。
手術中、患者さんの状態に合わせて麻酔薬などの量を調整したり、逆に多すぎないよう管理しているのも麻酔科医の仕事になります。
麻酔器は機械ですが、最終的にその調整をするのはやはり人。
手術は外科医だけでなく、麻酔科医も大きな役目を担っています。

【まとめ】

麻酔器は手術中に患者さんの痛みをなくすためと、呼吸管理のために使われています。
より良い麻酔器を作るため、あるいは全身麻酔のために人は昔から開発を続けてきました。
麻酔器が生まれる前は麻酔なしでの手術だったといいますから、大変ありがたい機械であるといえるでしょう。

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