麻酔器の安全性を高める正確な消毒方法

生体現象測定記録・監視用機器

手術において欠かすことのできない麻酔器ですが、感染症対策も万全に行わなければなりません。適切な清掃方法を行わなければ、労力が無駄になるだけなく、逆に患者に対し有害な影響を与える原因になる可能性もあります。今回は、麻酔器の適切な消毒方法について述べたいと思います。

スポルディング分類によって分けられる機器の消毒法

医療機器の消毒には、使用用途により3つの水準に分けられます。

〇クリティカル器具
手術器具や血管を通過するような、汚染の危険性がゼロでなければならない器具をクリティカル器具と呼びます。可能であれば使い捨ての製品を使用し、再利用の場合は高圧蒸気法で減菌する必要があります。非耐熱性の器具の場合はEOG(エチレンオキシドガス)減菌や、残留性のない過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌で対応します。

〇セミクリティカル器具
セミクリティカル器具とは、呼吸器療法器具、喉頭鏡といった粘膜や創傷のできた皮膚に接触する器具です。消毒には主に、熱水消毒や高水準消毒薬(グルタラール・フタラール・過酢酸)や、中水準消毒薬(アルコール・ポピドンヨード)が使用されます。

〇ノンクリティカル器具
ベッドパン・血圧計のマンシェット・聴診器のような、粘膜以外の健常な皮膚と接触する器具のことをノンクリティカル器具と呼びます。高度汚染がない限りは定期的な清拭で問題なく、複数の患者で共用する場合は接触感染予防のため、低水準消毒薬(塩化ベンザルコニウム・両性界面活性剤)、または中水準消毒薬を使用し消毒を行います。

麻酔器の清掃・消毒方法

〇本体の洗浄
麻酔器は「セミクリティカル器具」に分類されます。患者呼気が流れる一方向弁や二酸化炭素吸収装置には定期的な洗浄消毒が必要になります。

麻酔用人工呼吸器接続チューブやベローズは取扱説明書の記述に従って、定期的な洗浄・消毒が必要となります。分解するのが難しい部品の場合は、ディスポーザブル製品を使用することで病原体の混入を防ぐことができます。

〇外装の清掃・消毒
清掃前に感電の危険性を考慮し、必ず本体の電源が切れているか確認して、電源コードを抜いてから行います。中性洗剤や消毒用アルコールを柔らかい布やガーゼに浸して絞ったもので軽く拭き、水拭き、乾拭きの順で行ないます。

また、麻酔器全体をEOG消毒やホルマリン消毒することは避けましょう。ゴム・プラスチック製品の部品は消毒・滅菌することで劣化が早まる可能性がありますので注意が必要です。

まとめ

感染症予防対策の意識は医療従事者・患者ともに高くなっています。清掃を終えた装置は患者の安全を第一に気圧・温度・湿度・風通し・日光・埃・塩分・硫黄分を含んだ空気をできるだけ避けた、安全な場所に保管しましょう。患者の安全を確保するためには日々のメンテナンスも重要な仕事の一つだと理解しておきましょう。

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