心電図の基本となる洞調律と電気信号の仕組み

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洞調律(サイナスリズム)Sinus Rhythm、とは心房と心室が規則正しく動作している状態のことを意味します。洞房結節から発生する電気的興奮が正常に働いているかどうかについて、心電図から確認することができます。今回は、洞調律と心電図の評価解析について解説していきます。

基本波形

心電図には、1心拍における電気の伝わり方を示す基本的な波形があり、P波・QRS波・T波・U波で構成されています。患者さんの心電図を確認した時、60~90回/分の診断結果を正常な状態、正常洞調律(ノーマルサイナリズム)と呼びます。60回/分以下の場合は徐脈、100回/分以上なら頻脈、洞調律が不安定なケースを不整脈と呼びます。

心臓の仕組みと心電図の波形

心臓には、電気信号を発生させる「洞結節」と呼ばれる器官と、他に心室と心房の間に位置し洞結節の役割をサポートする「房室結節」があります。電気信号はその通り道である「刺激伝導系」を伝い、ポンプ動作を行うよう心臓各器官の心筋へ電気刺激を及ぼします。

洞結節→心房→房室結節→心室(右脚・左脚)の順に電気信号は流れていき、これらを検出したものが心電図です。

上向きの揺れを陽性、下向きの揺れを陰性と呼びます。上記に記した波形は繰り返され、そのサイクルを「周期」と呼びます。

P波:「心房」の収縮(脱分極)が行われている際に発生します。0.1秒(方眼紙2コマ)以下の短いものですが、P波の幅が広い場合は脱分極に異常があるものと推察されます。

PP間隔:周期的に行われる心房の興奮開始にかかる間隔(洞周期)です。

PQ間隔:心房の興奮開始(P波)から心室の興奮開始(Q波)までの時間です。正常値は0.2秒程とされています。

RR間隔:心室興奮から次の拍動の心室興奮までにかかる時間を意味します。この幅は心臓の1周期に相当し、1分間に発生する回数を算出することで心拍数を求めることができます。

QRS波:「心室」の収縮(脱分極)が行われている際に発生します。QRS波は素早く幅は0.1程度が正常値です。幅からはすべての心室筋が脱分極を終えるまでの時間を測定できます。

T波:心室が興奮を終了(再分極)した際に発生します。

U波:T波の後に現れる僅かな波でほぼ確認することのないものです。原理についてはは解明されていません。

QT時間:心室の脱分極から心室の再分極終了までの時間であり、心室の活動電位の持続時間です。

心電図の評価解析

正常な心電図は体格で個人差があります。検査データの解析によって不整脈の有無や諸々の波形に異常がないかなどを確認し、横の時間軸の測定値が正常かどうかをチェックします。
心電図の評価解析には以下の方法をとります。

波形解析

波形解析は、心電図から収集した波形を交流障害の除去や基線動揺を改善で品質改善した後、QRS波・P波・T波を検出し異常がないか確認します。

リズム解析

リズム解析は不整脈評価の際に行う解析です。QRS波・P波の計測データから調律を解析します。

まとめ

洞調律は洞結節から始まった興奮が、正常なリズムで行われていること、定義としてP波が12誘導のI、II、aVf、V4~V6誘導で陽性、aVrで陰性を満たしていることが条件です。心電図の基本であるサイナスリズムを理解することで異常についての理解を深めていきましょう。

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