心拍は揺らいでいる状態が正常|心電図と呼吸性変動の仕組み

生体現象測定記録・監視用機器

心電図を読むとき、心拍数がせわしなく変化していると、体に何らかの異常があるのではと疑ってしまいがちです。しかし、これはむしろ正常だからこそ起こる現象なのです。ここでは、呼吸によって心拍が変動する仕組みについて解説いたします。

呼吸性変動とは?

心臓の鼓動と肺による呼吸は連動していますから、息を吐いたり吸ったりすることによって、心拍数に影響を及ぼしてきます。これは、すべての肺呼吸生物に共通する生理現象です。つまり心拍に変動があるのは、むしろ肉体が正常な状態だからなのです。

「揺らぎ」があるということは、肉体は旺盛に活動しているという、ひとつの証明になります。逆に言えば揺らいでいないほうが、むしろ肉体上、何か有る可能性があります。

以下に、呼吸によって心拍が揺らぐ仕組みを説明いたします。

呼吸で心拍が変動する仕組み

心拍は基本的に息を吸ったときにアップし、吐いたときにはダウンします。心臓は常に活動を続けているので、呼吸によってかかる負荷を軽減し、休ませようという働きがあるのです。

また呼吸によって肺の酸素濃度は、高くなったり低くなったりします。これを繰り返すことで、血流も安定させることができます。肉体への負担を最小限にするための、機能であると言うことができます。

心拍の変動が見られないほうが危険

ここまで心拍には、揺らぎがあったほうが正常であることについて説明いたしました。しかし上述したように、揺らいでいない状態のほうが危険なのです。この場合、対象者には何らかの生活習慣や肉体的な異常がある可能性があります。

心拍に異常を来たす要因

以下に肉体への負荷によって、心拍の揺らぎを低下させる主な要因を、3点紹介いたします。

①生活習慣

喫煙や飲酒など生活習慣によって、肉体の機能は弱まります。つまり呼吸が浅くなったり、肺の活動が低下したりして、心拍の変動も小さくなってしまうのです。生活習慣の改善も、肉体への負担を軽減させるために、有効であると言うことができます。

②肉体上の疾患

呼吸器や循環器に何らかの疾患があると、やはり心拍にも異常が見られます。脈拍が急に速くなる「頻脈」、逆に遅くなる「徐脈」、飛び飛びになる「期外収縮」などです。これらの現象は、心拍の揺らぎとは区別して考えなければなりません。

③自律神経系のバランス

心拍の揺らぎは、自律神経系のバランスがよくとれている証拠とも言われます。逆に変動が小さくなっている場合、交感神経と副交感神経のバランスが、うまく取れていないケースがあります。

まとめ

呼吸によって心拍の変動している方が、正常であると述べてきました。変化が見られない場合は、むしろ危険が迫っている可能性があります。心電図だけではなく、脈拍や患者への目診など、総合的な判断が重要であると言うことができます。

ピックアップ記事

関連記事一覧