人工呼吸器療法における基本的業務と点検

生体現象測定記録・監視用機器

医療機器の進歩によって臨床の現場は便利になりましたが、機器を扱う医療従事者の操作の安全を担うことが社会的使命と受け止めなければなりません。今回は、人工呼吸器治療の流れに沿った基本的業務と点検を説明します。

安全対策の基本

人工呼吸器関連のトラブルは機器本体および人工呼吸回路に起因するものと、スタッフの人為的ミス、そして電気および医療ガス等の医療設備に起因するものに大別できます。従って、これらについて日頃より常に対策を講じること、また発生してしまったトラブルや問題点を対策へ反映させることが安全性の向上のために必要です。

特に、人為的ミスの発生は患者への致命的な影響を及ぼす可能性があり、また、担当スタッフの行為責任、医療機関の管理責任問題などの重大な事態となりうることから、常にその防止には最善の努力をしなくてはいけません。

人工呼吸器療法における基本的業務と点検

人工呼吸器法における基本的業務と点検を、「開始前の準備と点検」「開始時の条件設定と確認」「治療中の監視業務と機器の点検」「修了時業務」の流れに沿って見ていきましょう。

開始前の準備と点検

1.電気・医療ガスの点検
2.人工呼吸器本体の点検
3.加温加湿装置の点検
4.呼吸器回路の点検
5.リークテスト
6.酸素濃度の確認
7.各種モニタおよび安全機構の確認
8.人工呼吸治療経過記録表の確認
9.機器操作マニュアル、トラブルシューティングの確認
10.緊急時対応マニュアルの確認
11.点検結果の記録

開始時の条件設定と確認

1.人工呼吸器療法の治療に必要な薬剤・治療材料等の確認
2.人工呼吸器等の運転条件および監視条件の確認
3.人工呼吸回路を気管チューブへ接続
4.開始時の患者状態および人工呼吸器動作状況等を治療経過記録表へ記録
5.緊急時等の処置の指示受け

治療中の監視業務と機器の点検

1.患者状態の確認
2.人工呼吸器の動作点検
3.排痰作業
4.呼吸回路交換の対応
5.警報時の処置等
6.設定条件および監視条件の変更
7.呼吸理学療法実施時の対応
8.患者状態、点検および処置内容の人工呼吸治療経過記録表への記録

修了時業務

1.人工呼吸療法経過記録表等の保管
2.人工呼吸器等の点検
3.機器の清掃および滅菌・消毒等
4.異常時等検出時の対応

人工呼吸器は適正な保守点検が必要

人工呼吸器は耐久性のある医療機器であることから、定期的な点検、使用に際しての使用前、使用中、使用後の点検が必要です。このような保守点検を適切におこなうことにより、機器の異常などの発生を未然に防止し、人工呼吸を適切かつ安全に使用することができます。

まとめ

人工呼吸器は開発改良がはやく、常に新しい機能を搭載した機器が市販されます。一方、機器の耐久性も高いことから古い機器も混在しているので、ひとつの施設で多種の危機が使用されていることもあります。そのような現状ですので、機器の操作をする際には十分に気を配りたいものです。

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