老年病科とは?高齢者を診る専門医療の必要性と対象疾患について紹介

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医師が診察する身体の部位や疾病は、診療科ごとに大きく異なります。

診療科は複数あるものの、それぞれどのようなときに受診すればよいのか迷うこともあるでしょう。

そこで、老年病科とはどのような診療科なのか、高齢者を診る専門医療の必要性と対象疾患について紹介していきます。

 

医療に求められる高齢者に対する配慮

高齢者は若年成人とは異なる特徴があるため、診療についても配慮が必要です。

たとえば処方薬なども、薬物動態の加齢変化や多剤服用による相互作用、合併症に対する影響などに加え、正しく服用できるかなど配慮する必要があります。

また、高齢になれば複数の臓器に障害を持つケースも少なくないため、臓器の障害に薬を積み重ねることで様々な害をもたらすこともあると留意しておく必要があるでしょう。

 

老年病科とは

「老年病科」は、内科診療の1つの領域として高齢者を総合的に診療しています。

65歳以上の患者が主な対象であり、多様な疾患に外来診療や入院診療を行う診療科です。

加齢に伴う認知症・要介護状態の前段階のフレイルや、加齢に伴う筋肉量や筋力の低下であるサルコぺリアなど、食欲低下や体重減少などの症状のみで原因がわかりにくいことも少なくありません。

どこの診療科を受診するべきか判断できないときや、複数の臓器で複数の疾患を抱えているとき高齢者を診療の対象としています。

また、骨粗鬆症などは転倒や骨折で要介護状態になってしまうリスクが高いため、予防することが大切です。

 

老年病科の対象疾患

老年病科の対象疾患は、認知症・動脈硬化性疾患・呼吸器疾患(嚥下性肺炎・COPD・間質性肺炎・肺癌)・骨粗鬆症・圧迫骨折・睡眠時無呼吸症候群などが多いといえるものの、多岐に渡ります。

複数の病気で引き起こされる老年症候群という高齢者に多く見られる症状に、専門的な知識で診療します。

生活機能や認知機能、精神状態など、いろいろな尺度で行う高齢者総合的機能評価(CGA)を積極活用し、病気を治すだけにとどまらず、ADLやQOLなどを向上させることも治療や診療の目的として実施されます。

高齢者の治療や目標設定は、長く生きてきたことによる高齢者特有の価値観なども理解することが重要といえます。

患者の望みなどを把握しつつ、自身の意思決定が難しい状況などにもそなえて、本人やその家族と話し合いができる機会を設けることも必要です。

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